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名牝系の血筋継ぐナミュールが8度目の挑戦で悲願の初V! “代打騎乗”で大仕事をやってのけた藤岡康太の手綱さばきにも拍手!【マイルCS】

三好達彦

2023.11.21

代打騎乗の藤岡騎手の手綱さばきが光ったナミュールが8度目の挑戦でGⅠを初めて制した。写真:産経新聞社

 11月19日、秋のマイル王決定戦と位置づけられるマイルチャンピオンシップ(GⅠ、京都・芝1600m)が行なわれ、単勝5番人気のナミュール(牝4歳/栗東・高野友和厩舎)が豪快な差し切りで優勝。8度目の挑戦で念願のGⅠタイトルを手にした。

 2着には中団から伸びたソウルラッシュ(牡5歳/栗東・池江泰寿厩舎)が入り、3着も後方から追い込んだ7番人気のジャスティンカフェ(牡5歳/栗東・安田翔伍厩舎)が入着した。

 一方、1番人気に推されたシュネルマイスター(牡5歳/美浦・手塚貴久厩舎)は伸びを欠いて7着に、昨年の本レース覇者である2番人気のセリフォス(牡4歳/栗東・中内田充正厩舎)は直線で失速して8着に敗退。1、2番人気が揃って大敗したため、3連単の払戻金額は17万6490円という波乱になった。
 
 レース発走前、全国の競馬ファンに衝撃が走った。現役騎手として世界最高峰と言われるライアン・ムーア騎手が第2レースで落馬負傷。以後の騎乗をキャンセルとなったからだ。当然、ナミュールへの騎乗も不可能となり、陣営は代打探しを余儀なくされた。

 当日は京都のほか、東京、福島で開催されていたため、騎手は3場に分散していたので、選択肢は限られた。そのなかで白羽の矢が立ったのが藤岡康太騎手だった。

 直近10年はコンスタントに50~60勝を記録し、今年も前週までに55勝を挙げてリーディングで13位に名を連ねていた藤岡騎手。その度胸ある騎乗には定評がある実力者だ。
 
 ただ今回は乗り替わりに関しては、いささか分が悪かった。なんせ元の騎乗予定ジョッキーが世界のトップ・オブ・トップに数えられるムーア騎手である。ナミュールの単勝オッズは9倍台で推移していたのだが、藤岡騎手への乗り替わりが発表されると徐々に単勝人気が右肩下がりとなり、最終的には17.3倍まで人気を下げていた。

 他馬に目を向けると、人気上位にはNHKマイルカップ(GⅠ)の勝ち馬で、昨年の本レースと安田記念(GⅠ)で2着に入った実績を持つシュネルマイスター、ディフェンディングチャンピオンのセリフォス。3番人気は晩成の血を開花させつつあるソウルラッシュが続いた。

 しかも、シュネルマイスターにはGⅠ3連勝中のクリストフ・ルメール騎手が、セリフォスにはリバティアイランドで牝馬三冠を成し遂げ、9月のスプリンターズステークス(GⅠ)にも勝利している川田将雅騎手が騎乗。ソウルラッシュには、"マジックマン"ことジョアン・モレイラ騎手が手綱を取る強力な顔ぶれが揃っていた。
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ケタ違いの脚色を発揮!悲願のビッグタイトルを獲得