歴史的快挙まで、もうあとわずかだ。

　12月26日、井上尚弥はスーパー・バンタム級主要４団体王座統一戦に挑む。井上はWBCとWBOのチャンピオン。対戦するのはWBA&IBF王者のマーロン・タパレス（フィリピン）だ。

【画像】筋骨隆々の圧巻ボティに、眼光鋭く８秒間のフェイスオフ！ 前日計量の緊迫した雰囲気を厳選フォトでお届け！ 　2階級での4団体統一に成功すれば、史上2人目という偉業。その“スピード感”にも目を見張らされる。バンタム級ではベルトを1本ずつ奪っての4団体統一。それを成し遂げたのは昨年12月だった。つまり、それからまだ1年しか経っていない。

　今年7月、スーパー・バンタム級に階級を上げての初戦でスティーブン・フルトンを倒し2冠獲得。そして今回が4団体統一戦だ。フルトン戦はケガで試合が延期になるというアクシデントがあったものの、それでも今回勝てば2年連続、2階級での4団体制覇という瞬間が見られることになるわけだ。

　その強さはまさに規格外。大谷翔平にも言えることだが、その活躍ぶりやパフォーマンスが想像以上の領域にあり、不可能などないようにさえ思える。今回のタパレス戦も、4団体統一を確実視する雰囲気があるのも確かだ。

　タパレスは井上より1つ年上の31歳。戦績は40戦37勝3敗、19KO。パワフルなフックを武器とするアグレッシブな選手で、同時にジャブでしっかり試合を組み立てることもできる。戦績の中で光るのは、五輪メダリストでプロ無敗だったムロジョン・アフマダリエフから2冠を奪った一戦（昨年4月）だろう。

　ただタパレスにはすでに3つの黒星があり、TKO負けも。つまり“絶対的な強さを持つチャンピオン”というわけではない。井上と同じように軽い階級から上げてきた選手で、体格的にも井上に不利はない。

　前回のフルトン戦には、大きなテーマがあった。それは「井上尚弥はスーパー・バンタム級でも勝てるのか。これまでのような強さを発揮できるのか」もいうものだ。

　階級を上げれば、それだけ対戦相手も大きくなる。パワーもあるしフィジカルも強い。そういう相手に圧力で負けることはあるのか。倒すことができるのか。

　そうした疑問に、井上は完璧な回答を出した。階級を上げてなお、井上はおそろしく強かったのだ。