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格闘技・プロレス

井上尚弥、最大の敵は「楽勝ムード」にあり! 2階級4団体統一へ、警戒するのは“よもやの一発” 【タパレス戦・展望】

橋本宗洋

2023.12.26

 フルトン戦での強さを見る限り、井上はスーパー・バンタム級でも証明すべきことはすべて証明したのではないか。あとは4団体統一という果実をもぎ取るだけ。その歴史的瞬間を見ることが、タパレス戦のテーマかもしれない。
 
 いや、テーマはそんな状況そのものかもしれない。ボクシングに限らず、スポーツにはアップセットがつきものだ。キャリアの中で19のKOを生み出してきたタパレスのパンチング・パワーは決して油断できるものではない。ましてタパレスはカウンターに定評がある。ついた異名は“ナイトメア”。よもやの一発で井上にも悪夢を見させようと腕をぶしている。

 井上自身、フルトンと比べ「タパレスのほうが怖さがある」と語っている。「1ラウンドからピリピリすると思う」とも。試合に向けてのスパーリングは116ラウンド。近年の試合ではかなり多いという。その理由を、井上はこう語った。

「楽勝ムードを吹き飛ばすため」

 今回の試合で最も怖いのは、周りが作り出すムードなのだという。試合2週間前、練習後にX(旧ツイッター)でこんな言葉も。

「今日もやりきった。1ミリのズレもなく」

 2階級での4団体統一へ、井上に隙は見当たらない。自身へのシビアな認識は、目標の大きさからくるものでもあるのだろう。

 現在、ボクシングのパウンド・フォー・パウンド(PFP)ベストと評されているのはアメリカのテレンス・クロフォード。史上初めて2階級で4団体統一を果たした選手だ。クロフォードを僅差で追うのが井上。今回勝つことには、実績でクロフォードに並ぶという意味もある。

 歴代日本人ボクサー最強というだけでなく、世界で最も評価の高いボクサーの座が視野にあるのが井上尚弥なのだ。

「この先、日本人が絶対に辿り着けない場所まで上り詰めたい」
 我々はとてつもない人間と同じ時代に生きている。

文●橋本宗洋

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