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「来春への品定め」となる若駒たちの激闘。無傷の戴冠狙うゴンバデカーブース&“凱旋門賞馬の全弟”超良血シンエンペラーに注目!【ホープフルS】

三好達彦

2023.12.27

超良血のシンエンペラー。無傷の3連勝での戴冠を狙う。写真:産経新聞社

 12月28日、来年クラシックの趨勢を占う最重要戦、ホープフルステークス(GⅠ、中山・芝2000m)が行なわれる。サンライズアース(牡2歳/栗東・石坂公一厩舎)が挫石のために出走取消となったのは残念だが、今年も多くの逸材が顔を揃える楽しみな一戦となった。

 素質の高さはもちろんのこと、話題性に関しても多くのフックを持つシンエンペラー(牡2歳/栗東・矢作芳人厩舎)がファンの注目を集めている。

 まず血統を見ると、父Siyouni、母Starlet's Sister(母の父Galileo)、すなわち仏ダービーや凱旋門賞などを制したソットサス(Sottsass)の全弟という、ワールドレベルの超良血馬。昨夏、フランスのセリ市で矢作調教師が210万ユーロ(当時のレートで約2億8000万円)という高額で落札したのだが、それを依頼したオーナーがゲーム『ウマ娘プリティーダービー』(製作・運営は子会社のCygames)で知られる、サイバーエージェント社長の藤田晋氏というのだから、注目を浴びないわけがない。

 藤田オーナーと矢作調教師のコンビでは、今年のJBC2歳優駿(JpnⅢ、門別・ダート1800m)、全日本2歳優駿(JpnⅠ、川崎・ダート1600m)をフォーエバーヤング(牡)で制しており、素晴らしい発進を見せている。ちなみに本馬の父リアルスティールも矢作調教師が管理していた。

 来年からは中央・地方がタッグを組んだ3歳の「ダート三冠」が施行される。シンエンペラーこそ、今回の主軸となるべきだろう。
 
 話をホープフルステークスに戻そう。超良血にして超高額馬のシンエンペラーだが、重厚な欧州血統で日本のスピード競馬への対応力がいささか心配されたが、新馬戦(東京・芝1800m)を軽く追われただけで1分48秒1の好時計で勝利。そして次戦の京都2歳ステークス(GⅢ、京都・芝2000m)も1分59秒8と、まずまずの走破タイムで連勝を果たし、スケールの大きさを感じさせる走りと相まって、さらに期待が高まった。

 ただし、京都2歳ステークスではゴーサインを受けてからの反応がやや鈍く、手綱を取ったジョアン・モレイラ騎手のアシストが利いた面が少なくなかった。こうした点をスケールの大きさと見るか、現時点での幼さと見るかによって、評価が分かれるところだろう。

 もう1頭の注目馬は、2連勝でサウジアラビアロイヤルカップ(GⅢ、東京・芝1600m)を制したゴンバデカーブース(牡2歳/美浦・堀宣行厩舎)である。

 父のブリックスアンドモルタルは、アメリカの芝戦線で活躍し、2019年にブリーダーズカップ・ターフをはじめGⅠレースを5勝し、日本のJRA賞にあたるエクリプス賞で年度代表馬に輝いた名馬だ。

 生来の跛行が悪化した際に2回続けて3着に敗れた以外はすべて勝利を収め、通算成績は13戦11勝とほぼパーフェクト。連勝が始まった時期に本馬の種牡馬としての所有権を社台グループが購入し、引退後の2020年から社台スタリオンステーションで供用が開始された。今年の2歳がファーストクロップで、産駒に乗っている牧場関係者は「サンデーサイレンスの再来かもしれない」と口にしている旨を、本馬の導入を決断した社台ファーム代表の吉田照哉氏が明かしている。
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現時点の完成度、操作性、自在性の高さではゴンバデカーブースが一枚上か