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「ようやくいつもの自分に戻れた」宇野昌磨が圧巻のSPを終えて明かした、”視点の変化”【全日本フィギュア】

THE DIGEST編集部

2019.12.20

冒頭の4回転フリップの着氷から、どんどんテンポを上げていった宇野。 写真:徳原隆元

 12月20日、東京・代々木第一体育館で開催された全日本選手権では男子シングルのショートプログラム(SP)で、宇野昌磨はシーズンベストとなる105・71点をマークした。

 プログラム冒頭の4回転フリップ、4回転+2回転のトゥループ、そしてトリプルアクセルを着氷し、演技を終えた後は右腕を振り下ろしてガッツポーズ。「早く喜びの気持ちを表現したかった」と語るほど、充実感を漂わせていた。
 
 先日、来季からはステファン・ランビエール氏に師事することを"フライング"発表したばかりだが、今季はコーチ不在で苦しみ、メンタルでも悪循環に陥っていたという。

 「練習で失敗しても大して落ち込むことはないのに、本番の試合で失敗したらとても落ち込み、自分に失望していた。けれど、本来なら練習で100%失敗しなくなってから、失敗した事実に失望すべきで、違うなと。落ち込む自分が高望みしすぎていたんだと」
 

 視点が変わった宇野は、この日のプログラムでも「フリップ失敗しても、引きずらないように」と、演技前から吹っ切れていたという。

 そして、何があっても「笑ってやろう」と強い気持ちを漲らせ、SPに臨み、自身のシーズンベストという結果を残した。

 4年間、羽生が不在だった全日本選手権を連覇してきた宇野。22日に行なわれるフリーでは、ライバルでもあり、憧れの存在を5・01点差で追う立場となる。

「(公式)練習を頑張って、本番の試合を頑張って、最後に楽しかった、うれしかったと思えたらいい」と語った宇野は、こうも語った。

「今季で一番いい状態で臨めた。ようやくいつもの自分に戻れた」

 滑る喜びに満たされた宇野のフリーの演技に、期待は高まる。

取材・文●熊介子(THE DIGEST編集部)