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「悔しさは残っている」全日本初制覇の紀平梨花、世界選手権での“4回転“投入を示唆【全日本フィギュア】

THE DIGEST編集部

2019.12.21

演技を終えた後、喜びの表情を浮かべた紀平。 写真:徳原隆元

 12月21日、東京・代々木体育館で開催された全日本選手権の女子シングル、フリースケーティングが行なわれ、ショートプログラム(SP)で首位に立った紀平梨花がノーミスの演技を披露し、155・20点を獲得。総合229・20点で、同大会初の優勝を決めた。

 紀平はSPが終わった後、得意のトリプルアクセルの着氷が乱れたことについて悔やんでいた。ミスの分を取り返すべく、「フリーでは4回転サルコーを含む構成にしたい」と意気込んでいたが、「6分間練習が始まるまで、(やるかやらないか)決まっていなかった」と明かした。

「(コーチの)濱田美栄先生には、『今回はなしでいったほうがいいんじゃないかな。まずはアクセル』と言われた。自分では6分間練習の具合で最終的に決めようと思っていて、いざ滑った時、アクセルの調子が良かったので、サルコーは3回転でいこうと決めた」

 その判断は、紀平にとっての全日本選手権初優勝という結果をもたらした。ノーミスで試合を終えた紀平は、「目標としてきたノーミスの演技ができてすごくうれしい」とほほ笑んだ。ただ、悔しさは残っている。
 
「4回転を入れたいという気持ちは強かったので、そこに自分の状態をもっていけなかった悔しさはあるし、その挑戦をする意義があった場所だったと思うので、やりたかった気持ちは残っている。4回転ジャンプを外して、難易度を下げたことも悔しかった」

 だからこそ、3月にカナダで行なわれる世界選手権に挑むにあたっては、今のままでいいとは考えていない。

「去年の世界選手権は満足のいく試合ではなかった。今度は、4回転サルコー、ルッツジャンプも含めたプログラムで滑ることができるようにしたい。GPファイナルを経て、夜の試合にむけての調整法も少しずつ分かってきた。あの場所で悔いなく、これ以上のいい演技はないと思えるくらいにできたら」

 紀平は現在、跳ぶと痛みを感じるという3回転ルッツの組み込みも避けている。しかし、練習では少しずつ2回転ルッツの練習を開始しているという。

「ルッツを跳んでもアクセルに響かず、4回転ジャンプを跳んでも、ルッツとアクセルが乱れないような。練習を何度もして、万全に整えた状態で挑みたい」

 全日本フィギュアの新女王は決して現状に満足せず、新しい目標へ早くも心を向けている。

取材・文●熊介子(THE DIGEST編集部)

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