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日本馬の連覇叶わずも、ウシュバテソーロのアタマ差激走で実感した近代日本競馬の”多様性時代”の到来【サウジカップ】

三好達彦

2024.02.26

サウジCで2着に激走したウシュバテソーロ。勝利は掴めなかったが、5億円超の賞金を手にした。写真:産経新聞社

サウジCで2着に激走したウシュバテソーロ。勝利は掴めなかったが、5億円超の賞金を手にした。写真:産経新聞社

 現地2月24日、賞金総額2000万ドル(約30億円)、優勝賞金1000万ドル(約15億円)という世界最高賞金を誇るサウジカップ(G1、ダート1800m)がサウジアラビアのキングアブドゥルアジーズ競馬場で行なわれ、激しい競り合いの末、セニョールバスカドール(牡6歳/米・T.フィンチャー厩舎)が、川田将雅騎手が手綱をとる日本のウシュバテソーロ(牡7歳/美浦・高木登厩舎)をアタマ差交わして優勝。G1レース初制覇で、垂涎の世界最高の1着賞金を手に入れた。

 昨年のパンサラッサに続く日本馬による連覇はならなかったが、ウシュバテソーロは堂々たる2着で、賞金3500万ドル(約5億2500万円)を獲得。昨年のドバイワールドカップ(UAE・G1、メイダン・ダート2000m)の勝ち馬の名に恥じないレースを見せた。

 また、昨年のブリーダーズカップ・クラシック(米G1、サンタアニタ・ダート2000m)で勝ち馬から1馬身差の2着に入って一気に評価を高めたデルマソトガケ(牡4歳/栗東・音無秀孝厩舎)も差のない5着に健闘した。

 一方、JRA・JpnⅠのダートGⅠを2連勝して臨んだレモンポップ(牡6歳/美浦・田中博康厩舎)は12着。昨年(5着)に続いて参戦したクラウンプライド(牡5歳/栗東・新谷功一厩舎)は9着に敗れた。なお、出走予定で現地入りしていたメイショウハリオ(牡7歳/栗東・岡田稲男厩舎)は主催者の診断によりスクラッチ(出走取消)となった。

 深夜にテレビの前で声を枯らして応援したファンも多かったのではなかろうか。何を隠そう筆者もそのひとりだったが、それほどに惜しく悔しい。また、誇らしくも感じたウシュバテソーロの激走だった。
 
 前々で競馬をしたい先行馬が揃い、ハイペースが予想された今年の一戦。実際、スタート直後から前目の位置を取り合う激しいレースとなったのだが、そのペースは「超」の字が付くほどの速さとなった。

 長いバックストレッチで先行馬が横一戦になりながら、お互いの様子を探りながらレースは進む。単勝8番人気のサウジクラウン(牡4歳/米・B.コックス厩舎)が先手を奪い、日本馬はレモンポップ、クラウンプライドとデルマソトガケが先行集団に加わり、1番人気に推されたホワイトアバリオ(牡5歳/米・R.ダトローJr.厩舎)がこれに追随した。反対に、ハイペースを読み切ったウシュバテソーロは、セニョールバスカドールとともに馬群から離れた後方にポジションをとった。

 第3コーナー過ぎから競り合いがさらに激しくなり、このあたりでレモンポップとクラウンプライドは苦しくなったか、鞍上の手が激しく動き始めた。

 そして迎えた直線。逃げるサウジクラウンがしぶとく脚を伸ばすところへ5番人気のナショナルトレジャー(牡4歳/米・B.バファート厩舎)とデルマソトガケが追いすがる。

 直線に入って追い出されたウシュバテソーロが力強い末脚で3頭を捉えてゴールを目指すが、さらにその外からセニョールバスカドールも急襲。ゴール前50m付近でウシュバテソーロがいったんは先頭に出るものの、ゴールの瞬間、セニョールバスカドールがわずかにそれを差し切った。大激戦となった結果はアタマ差という接戦だった。
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