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マラソン・駅伝

「5分50秒を切らないと意味がない」西山雄介が“41秒”およばず悔し涙…日本人トップ&五輪2連覇キプチョゲを抜く快走もパリ切符掴めず【東京マラソン】

湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

2024.03.03

西山はゴール直後、パリ五輪の代表権を掴めず顔を覆い涙を流した。写真:鈴木颯太朗

西山はゴール直後、パリ五輪の代表権を掴めず顔を覆い涙を流した。写真:鈴木颯太朗

 日本人最上位も、パリへの切符は露と消えた。

 3月3日、パリ五輪の代表選考レースとなった「東京マラソン2024」が都内で行なわれ、男子は2022年の世界選手権代表の西山雄介(トヨタ自動車)が日本人トップの9位でフィニッシュ。タイムは2時間6分31秒をマークしたが、日本陸連が設置した「2時間5分50秒」を突破できず、パリ五輪の代表権を掴むことはできなかった。

 優勝したケニアのベンソン・キプルト(2時間2分16秒)から約4分ほど遅れてゴール地点の東京駅に戻ってきた西山。フィニッシュテープを切ると笑顔はなく、29歳のランナーは顔を覆い泣き崩れた。

 レースは序盤から世界新の超ハイペースで刻み、20キロ手前になると前世界記録保持者のエリウド・キプチョゲ(ケニア)が遅れる波乱の展開に。直後には日本人の先頭集団にいた西山と木村慎(Honda)らが、他の選手と接触して転倒するアクシデントも続いた。

 さらに、日本記録保持者の鈴木健吾(富士通)が27キロ過ぎに後退。軒並みレコード保持者がペースダウンする誰も予想できない展開のなか、28.5キロを過ぎて西山が日本人トップに躍り出る。

 一時は浦野雄平(富士通)が日本勢のトップに立つも、西山は銀座交差点付近で浦野を抜き、スピードをアップ。34キロ付近ではリオ、東京五輪金メダリストのキプチョゲも抜く快走を見せ、勝負の終盤へ駆け抜けた。
 
 残り3キロで西山は苦しい表情を見せ始めるとぺースは落ち、設定タイム突破も厳しくなる。なんとか最後の力を振り絞るがスピードを上げられず、設定時間には41秒届かず。夢だったパリ五輪のラスト1枠は、昨年のマラソングランドチャピオンシップ(MGC)3位だった大迫傑(Nike)が射止めた。

 レース直後、「オリンピックに行きたかったです」と西山は肩を震わせ、「5分50秒を切らないと意味がないので悔しいです。オリンピックに行きたい思いで積極的なレースを心がけたんですが、ダメでした」と最後の五輪挑戦という意気込みで臨んだが、悔しい結果に唇を噛んだ。

 パリへの出場権を懸けたラストチャンスは厳しい結果となったが、道中でのアクシデントにも負けず、超人と称されるキプチョゲを終盤で抜き去るなど見せ場を作ったのは確か。今後については「パリを最大の目標にしていた。まだ今後どうするのか、はっきり決めていない」と明言を避けた。

取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

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