ラグビー

W杯連覇の経験者が持つ「もっと日本語が喋れれば」の謙虚さとシンプルな強さ! 王座奪還を目指す埼玉WKで際立つ南ア代表デアレンデの存在感

THE DIGEST編集部

2024.04.27

埼玉パナソニックワイルドナイツのCTBデアレンデ。南アフリカのW杯連覇にも貢献した名手だ。(C) Getty Images

 力んでいないのに力強い。ダミアン・デアレンデの真骨頂だ。

 ラグビーの南アフリカ代表として、昨秋のワールドカップで2連覇を達成。身長190センチ、体重105キロと恵まれたサイズを活かしてコンタクトを重ねるのだが、トップスピードで相手にぶちかますだけではない。
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 迫るタックルからわずかに逃れるようフットワークを利かせたり、加速と減速を交互に繰り返したり。スキルを発動させ、かつ、捕まられながらも倒れずに前に出られる。技巧的であるのに、味方からは「シンプルに、強い」と称賛される。ここに妙味がある。
 
 本人はこうだ。

「自ら強いキャリア(突進)をするだけではなく、チーム全体を考えて速いボール出しをしたほうがいい時もある。使い分けをしています」

 フィニッシュに近づく時は、全速力でのクラッシュも検討。その一方で、ゴールラインから遠い位置でフェーズを重ねたい折は件のスキルを使ってチャンスメイクに徹する。時には、相手の守備網のぎりぎりまで近づき別な場所へパスを放る。

 自分のためにチームがあるのではなく、チームのために自分があるのを理解する。

 いまは日本で過ごす。昨年12月に開幕のリーグワン1部にあって、一昨季まで国内2連覇の埼玉パナソニックワイルドナイツで2シーズン目を楽しむ。

 攻めては緩急とパワーの合わせ技を披露し、守ってはそれこそ「シンプル」な圧力を示す。相手に刺さる。相手を掴み上げる。相手の球に絡む。

 堅守速攻で鳴らすワイルドナイツには19年度に1季だけ加わり、22年度に再加入。いわゆる「助っ人」ではなく、組織の構成員として持てる資質を活かす。

「(ワイルドナイツには)時間が経つにつれて慣れ親しんできています。チームメートと時間を過ごしていくなか、お互いが心地いい関係を築けてもいます。家族も心地よく思っています」

 自ら周りになじもうとしている。同僚をニックネームで呼び、大声で励ます。試合が終わると、最寄り駅まで帰るバスの車内をさながらエンタメ化。同じ南アフリカ代表経験者のルード・デヤハーらと、お決まりの冗談を冗談で言い合う。

「ルードだけではなく、他の外国人にもユーモアを持った選手がたくさんいる。いい笑いを作り、バスの道のりを短く感じさせられるようにできたらいいね。…もっと、日本語が喋れればと思うこともあります。そのほうが、他の日本人選手とも絡める」
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