競馬

クロワデュノール陣営の魂の込もったリベンジ舞台。大けがを乗り越えたダービージョッキーが電話で吐露した忘れ難い言葉【日本ダービー】

三好達彦

2025.06.04

日本ダービーを制したクロワデュノールと北村友一騎手。写真:産経新聞社

 6月1日、3歳クラシックの二冠目にして「競馬の祭典」とも呼ばれる日本ダービー(GⅠ、東京・芝2400m)が行なわれ、単勝1番人気に推されたクロワデュノール(牡3歳/栗東・斉藤崇史厩舎)が3番人気のマスカレードボール(牡3歳/美浦・手塚貴久厩舎)の追い込みを3/4馬身抑えて優勝。昨年のホープフルステークスに続いて、2つ目のGⅠタイトルを手にするとともに、同世代7950頭の頂点に立った。走破タイムは2分23秒7。北村友一騎手、斉藤崇史調教師ともダービー初制覇となった。
【動画】ジョッキー視線で見るクロワデュノールのダービー制覇

 3着には6番人気のショウヘイ(牡3歳/栗東・友道康夫厩舎)が入り、5番人気のサトノシャイニング(牡3歳/栗東・杉山晴紀厩舎)は4着。2番人気での出走となった皐月賞馬ミュージアムマイル(牡3歳/栗東・高柳大輔厩舎)は伸びきれず6着に終わった。

 1番人気に推されながら2着に敗れた皐月賞から43日目。今年の日本ダービーは、クロワデュノールとその陣営による魂のこもったリベンジの舞台となった。

 前日の雨で一時は『重』まで悪化した馬場状態(芝)は、午前中から『稍重』でスタート。その後、第8レースが終わった時点で『良』にまで回復し、やや湿り気を残して時計を要する状態ながらも道悪での開催は回避できた。
 
 迎えた92回目の日本ダービー。確固たる逃げ馬が不在と言われるなかゲートが開くと、大外の18番枠から絶好のスタートを切った武豊騎乗のサトノシャイニングが逃げる構えを見せるが、第1コーナーからホウオウアートマン(牡3歳/栗東・矢作芳人厩舎)がそれを交わして先頭に立つ。次いで内枠を生かしたショウヘイが3番手に付けると、その外、クロワデュノールは4番手の好位をキープ。マスカレードボールは中団の8番手を進み、ミュージアムマイルは11番手からの追走となった。

 向正面に入るとホウオウアートマンはサトノシャイニングとの差を広げるが、1000mの通過ラップは60秒0というミドルペース。この日は道中でのまくりがトレードマークとなったファウストラーゼン(牡3歳/栗東・西村真幸厩舎)は後方に控えたまま動かなかったため、さほどペースは上がらない。クロワデュノールは3番手をスムーズに折り合って進み、第3コーナーを過ぎると後続馬群は逃げ馬との差を詰めながら直線へと向いた。

 クロワデュノールの仕掛けは早かった。坂下から北村騎手が激しいアクションで追い出しを開始すると、残り300m付近でホウオウアートマン、サトノシャイニングを飲み込んで先頭に躍り出る。ショウヘイも突き放して一心にゴールを目指すクロワデュノールに、中団から脚を伸ばしたマスカレードボールを急襲するが、それを3/4馬身抑えたところが栄光のゴールだった。
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「自分じゃない。馬を褒めてやってくれ!」