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競馬

【名馬列伝】記憶にも記録にも残るステイゴールド 海外では無敵、種牡馬として脚光浴びた“小さな暴君“の黄金旅程

三好達彦

2025.09.22

 6歳、1999年の春シーズンは、いささか意地悪に言うと、その戦績は前年と打って変わって「ブロンズコレクター」としての色を濃くした。天皇賞(春)、宝塚記念を含む重賞に6回出走して3着が4回。下半期にも天皇賞(秋)を2年連続2着して、能力の高さは示したものの、この年までに、実に20連敗を喫していた。

 7歳、2000年はGⅠ実績がすぐれなかったが、アメリカJCC(GⅡ)を2着、京都記念(GⅡ)を3着、日経賞(GⅡ)を2着で進み、天皇賞(春)を4着として5月の目黒記念(GⅡ)に臨む。主戦の熊沢重文に替わってオファーを受けた武豊を背に臨んだこの一戦。ステイゴールドは雨で重馬場となったタフなコンディションのなか中団の9番手を追走。直線へ向くと58㎏という最高ハンデをものともせずに爆発的な末脚を繰り出し、先行して粘るマチカネキンノホシを楽々と差し切って優勝。雨の中のGⅡ、しかも土曜日の開催にもかかわらず、観客の間から爆発的な拍手と歓声が沸き起こった。それはステイゴールドがファンの間で個性派アイドルホースとして迎えられている事実を表していた。

 2001年、8歳になったステイゴールドにとってラストイヤーとなるこの1年は波乱万丈の展開となる。藤田伸二に手綱を託された初戦、日経新春杯(GⅡ)を58.5㎏という酷量ながら3番手から抜け出して快勝。年齢的な衰えがないことを証明すると、その勢いを駆って臨んだのは、自身初の海外遠征となるドバイミーティングだった。
 
 彼が参戦したのはドバイシーマクラシック(芝2410m)。当時はまだG2だったが(2002年からG1)、賞金の高さもあって集ったメンバーはワールドクラスレベル。なかでも注目を浴びていたのは、ゴドルフィン所属でフランキー・デットーリが騎乗するファンタスティックライトで、前年の本レースで英ダービー馬ハイライズを破って勝利を収め、暮れの香港カップを好位からの鋭い差し脚で快勝。2000年シーズンの世界チャンピオンを決める『エミレーツワールドレーシングチャンピオンシップ』で堂々1位にランクされていた。

 ステイゴールドは輸送に異例の長時間を要したこともあって体調が万全ではないと伝えられるなか、武豊を背にゲートイン。道中は中団馬群のファンタスティックライトを前に見る位置でレースを進めて直線へ向く。そして馬群を捌いて進路を確保すると、先に抜け出していたファンタスティックライト目掛けて強烈な切れ味を持つ末脚が炸裂。一完歩ごとに差を詰めて、馬体が並んだところでゴールラインを通過した。勝敗が写真判定に持ち込まれたが、わずかにハナ差でステイゴールドが先着。世界レベルの強者を倒して、遠く離れた日本のファンを大いに沸かせた。
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