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競馬

ジャパンカップに“強い外国馬“が帰還 日本特有のスピード競馬に難なく対応したバルザローナ騎手の非凡な手腕と認識能力に脱帽

三好達彦

2025.12.03

「世界一の馬を連れてきたとはいえ、相手も非常に強力なメンバーが揃っていました。道中は順調に見えましたが、一度は負けたかと思いました。しかしカランダガンはタフで、もう一度差し返してくれました。ゴール前でアタマ一つ抜け出した彼は、まさに非凡な馬です」とは、今年フランスでリーディングトレーナーの座についたフランシス・グラファール調教師。ミカエル・バルザローナ騎手も、「今回の目標に掲げていた勝利を達成できて、嬉しい気持ちでいっぱいです。能力のある馬だということを世界に改めて示すことができたと思います。最後は一騎打ちになりましたが、彼はベストな努力をしてくれました」と、愛馬を称えた。

 カランダガンは2歳時に去勢された4歳のセン馬。今春のドバイシーマクラシックでダノンデサイルに敗れるなど、GⅠレースにおいて4戦連続で2着となるなど、いまひとつ突き抜けるまでには至らなかったが、今年6月のサンクルー大賞から、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスステークス、英チャンピオンステークスと英仏G1レースを3連勝。世界の競走馬を順位付けするロンジン・ワールド・ベスト・レースホース・ランキングで1位を獲得し、世界一の称号をもってジャパンカップに参戦していた。

 カランダガンの持ち時計は、ドバイシーマクラシック(2410m)で記録した2分27秒2で、ジャパンカップとの10mの差を差し引いても、今年計時した2分20秒3とは7秒近い差があった。こうした彼我の差を一気に乗り越えたインパクトは絶大。その対応能力を持つ馬こそ、ますますグローバル化が進む競馬シーンにおいて真に世界一と呼ばれるに相応しい存在だと言えるだろう。敗戦のリスクを負いながらジャパンカップ参戦を決めたアガ・カーン・スタッズとグラファール調教師に大いなるリスペクトを、また欧州とはまったく違うスピード競馬に難なく対応したバルザローナ騎手の非凡な手腕と認識能力に称賛を捧げたい。
 
 カランダガンと最後まで息詰まる死闘を繰り広げたマスカレードボールの懸命な走りも強くファンの目を惹き付けた。秋の天皇賞(GⅠ)を制した3歳馬で、続くジャパンカップを制した馬はこれまで存在しないが、リスク要因となっていた厳しいローテーションや、自身のメンタルな課題を跳ね除けて僅差の2着としたことは嬉しい驚きだった。敗れはしたものの、来年の中長距離路線を牽引する馬として一気に価値を高めたと言えるだろう。

 評価に応えて好走したダノンデサイル、クロワデュノール、ジャスティンパレスも立派のひと言。なかでも特に、先行勢には厳しい流れのなか、いったん先頭に立って4着に粘ったクロワデュノールの走りが印象に残る。凱旋門賞の惨敗(14着)から立ち直った馬、立て直した人とも賛辞に値すると思う。

 カラ馬の存在は大なり小なり競走に影響を与えたが、残念だったのはそれに前をカットされてブレーキをかけざるを得ず、7着に沈んだタスティエーラ。大外からのスタートからとなったが、ダミアン・レーン騎手がうまく馬群のなかに潜り込ませるという絶妙な手綱さばきを披露し、馬の出来も絶好に見えていただけに惜しまれて余りある。

文●三好達彦

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