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競馬

【名馬列伝】史上2頭目の偉業を成し遂げたゼンノロブロイ 挫折に次ぐ挫折を乗り越えた秋古馬三冠

三好達彦

2025.08.30

04年有馬記念を制し、秋古馬三冠を成し遂げたゼンノロブロイ。写真:産経新聞社

04年有馬記念を制し、秋古馬三冠を成し遂げたゼンノロブロイ。写真:産経新聞社

 天皇賞(秋)、ジャパンカップ、有馬記念。秋の中長距離三冠とも呼ばれる険しい山を、2000年のテイエムオペラオー以来4年ぶりに上り切ったゼンノロブロイ。名馬であることに異論はないが、その蹄跡は挫折に次ぐ挫折が折り重なるワインディングロードのもとに刻まれている。

 ゼンノロブロイは、父が大種牡馬のサンデーサイレンス、母が米国のG1勝ち馬ローミンレイチェル(父マイニング)という血統。社台グループの白老ファームで生まれると、2000年のセレクトセール(当歳)に上場し、“ゼンノ”の冠号で知られる大迫忍によって9450万円で落札された。そして牧場時代から評判が高かった彼は、名トレーナーとしてすでに名高かった藤沢和雄の厩舎に預託された。

 仕上がりが遅れて3歳2月のデビューとなったゼンノロブロイは、中山の新馬戦(芝1600m)に出走。レースでは後方に待機する形になり、9番手で最終コーナーを回る。そして直線で馬群の外へ持ち出されると末脚が爆発。一気に前の8頭をのみ込んで、ゴールでは2着に2馬身半差を付ける圧勝で初陣を飾った。

 その後、OPのすみれステークス(阪神・芝2200m)での3着を経て、自己条件の山吹賞(500万下、中山・芝2200m)を先行・抜け出しの垢ぬけたレースぶりで快勝。次走、重賞初挑戦となる青葉賞(GⅡ、東京・芝2400m)でも、先団の5番手から力強く抜け出して2着に1馬身1/4差を付けて勝利。来る日本ダービー(GⅠ、東京・芝2400m)への優先出走権を確保した。
 
 日本ダービーでゼンノロブロイを待ち受けたのは、皐月賞(GⅠ、中山・芝2000m)の1、2着馬であるネオユニヴァースとサクラプレジデントという強豪2騎。ゼンノロブロイも単勝オッズ6.4倍の3番人気と高い評価を受けたが、「青葉賞出走馬からダービー優勝馬は出ない」という過去のデータから人気は伸び悩んだ。

 はたしてレースは、見応えの塊のような熱い一戦となった。好スタートを切ったゼンノロブロイは、逃げたいエースインザレースを先に行かせて2番手の好位置をキープし、ネオユニヴァースは後方の13番手付近を進む。ペースは1000mの通過が61秒1のスロー。それを察して第3コーナー過ぎからネオユニヴァースをはじめとする後方待機勢が動き始め、馬群はその長さを縮めながら直線へ向いた。

 雨で重馬場となって馬場が荒れたため、多くの馬が内ラチ沿いを避けて大回りして迎えた直線。坂を上がりながらゼンノロブロイが先頭に躍り出るが、そこへ内から迫ったのがネオユニヴァース。ゼンノロブロイは抵抗したが、ネオユニヴァースの差し脚に一日の長があり、ゴールでは半馬身差で2着に敗れた。やはり「青葉賞を走った馬はダービーを勝てない」というジンクスは守られた。
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