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ゴルフ

緊張や好不調の波の中、渋野日向子が日本ツアーで“見出していかなければならないもの”

THE DIGEST編集部

2020.10.30

 しかし、その後7番を終えるまでパーが並ぶ。ティショットの調子はさほど悪くないものの、セカンドショットがピンに絡むことがなかった。積極性よりも慎重さが目立ったが、それを振り払うかのような一撃を次のホールで見舞う。8番パー3のティショットだ。ピンまで148ヤードあったが、奥についてもいいと思い、8番アイアンを手にする。ゆったりとしたリズムでクラブを振り下ろすと、ボールは一直線にピンに向かって飛んでいく。グリーン上で2回跳ねると、転がってカップの中へと消えていった。この時点で首位に1打差の2位タイに浮上。波に乗るかと思いきや、それができないのが今年の渋野である。後半は3つのボギーを重ねて、逆にスコアを3つ落としてしまった。

「11番で1メートルのパーパットを外したことがショットに影響しました。上手く切り替えができなかったです」と反省の弁を述べた渋野。実はパットの際に手が震えていたのだという。この2週間で練習していたものの、ショートパットに対して失っていた自信を回復するまでには至らなかったのだろう。
 
 それでも、「打ってはいけないところへボールがいくことも少なかったですし、ショットの調子は良かったと思います」と、緊張感の中で自分なりにボールをコントロールできたことに対しては少なからず満足感を得ていた。ただ、この日の渋野はどちらかといえば、慎重なプレーが目立った。フェアウェイをキープするためとはいえ、飛距離を抑えていたし、アプローチが難しいところへ外さないために、あえてピンをデッドに狙わないホールも少なくなかった。とりあえず初日は様子見だったとしても、2日目以降は持ち前の積極性を発揮しなければスコアを伸ばせない。攻める気持ちと守る気持ちのせめぎ合いが上位進出へのカギを握るだろう。

文●山西英希
著者プロフィール/平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、2007年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。
 

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