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バレーボール

「異例中の異例」だった主将交代…バレー日本代表男子、柳田将洋の五輪落選がほぼ確実に

北野正樹

2021.05.21

 この大会で、柳田とサイドアタッカーのポジションが重なる高橋藍(日体大2年)、大塚達宣(早大3年)、高梨健太(名古屋)の新戦力が台頭したことで、柳田の存在感は薄れてしまった。

 柳田は、5月8、9日に群馬・高崎アリーナで開かれた男子の有料紅白戦には出場したが、9日に会見した中垣内監督の柳田への評価は「彼がすごくよかったのは、石川がいなかった2017年か18年。その後、いろんな面でコンディションは下がってきていると感じる。Vリーグ優勝でコンディションが高いと期待される人が多いかもしれないが、我々はトータルで選手を見たい。我々のチーム、戦術にフィットしているのかで判断する。全盛期と比べると見劣りしている。一生懸命さやパワーは感じるが」という、厳しいものだった。

 この後、会見に応じた柳田は悲壮感を漂わせた。「メンバー争いは熾烈。ほかの選手とどれだけギャップをみせられるか、危機感はある。今出せることを出し切ることに集中している」と、現実を直視し、いつになく口は重かった。
 
 中垣内監督の五輪構想で、サイドアタッカーは4人。VNLメンバーでは福沢達哉(パナソニック)、石川、高梨、大塚、高橋藍の5人が選ばれ、1人が外れることになる。

 柳田が外れた今回のVNLのメンバー選考について、Vリーグのチーム関係者の中には「ここという場面でジャンプサーブを決めるなど、勝負強さと経験からみて外すのは不可解」という意見や、「柳田の数少ない弱点の一つは、ブロック力。相手にプレッシャーをかけることが出来ない点が、代表から外された理由では」との声もある。
 
 中垣内監督は、12人の選考基準について「いかに技術力があるか、点数を取れるかを考える。それ以外に我々がやろうとする戦術にマッチするか。いかにチームに貢献してくれるか、人間性も判断になる」と明言してきた。

 その基準に当てはめれば、柳田が外れた理由は、チームがやろうとする戦術にマッチしていないということだろう。

 ここまで主将としても日本代表をけん引してきた柳田。中国との国際親善試合に出番はなく、代表12人を選ぶVNLへの出場機会さえ与えてもらえないままでの代表外しは、柳田にとっても納得することが出来ないのではないか。

 ただ、プロ意識の高い柳田。厳しい自身に対する評価に対し、今、冷静に向き合っていることだろう。不測の事態も予想され、五輪出場が完全に断たれたわけではないが、この試練を乗り越え技術的、人間的にもさらに成長した姿を見せてくれるはずだ。

文●北野正樹(フリーライター)

【著者プロフィール】きたの・まさき/1955年生まれ。2020年11月まで一般紙でプロ野球や高校野球、バレーボールなどを担当。南海が球団譲渡を決断する「譲渡3条件」や柳田将洋のサントリー復帰などを先行報道した。関西運動記者クラブ会友。

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