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マーメイドステークスの“大波乱“はなぜ起きたのか?単勝10番人気のシャムロックヒルが逃げ切れた要因は…

三好達彦

2021.06.21

 次の点は、勇気を持って先頭を奪い、逃げの戦法に打って出たことだろう。佐々木調教師が「中途半端なレースはしてほしくなかったので、逃げたのが良かった」と述べているように、思い切りのよい藤懸騎手の賭けは褒められるべきだろうし、最後の競り合いでシャムロックヒルの闘志という新たな一面を引き出したのも好騎乗と呼べるものだろう。

 あとは、「良」発表ながら前日の降雨の影響が残って、ある程度のタフさが要求される馬場状態になったこともある。本レースの2分00秒4という走破タイムは”普通の”良馬場であれば今回の出走馬のほとんどが出せる凡庸な時計であり、馬場への適応力の巧拙が勝敗を分ける馬場状態になったこともシャムロックヒルに味方したのではないかと考えられる。

 2着のクラヴェルは、51㎏という軽ハンデながら大ベテランの横山典弘騎手が連続して手綱をとっての2着。出走馬中、ただ1頭34秒台を記録した末脚の切れには目を見張った。これからもハンデ戦では目を離せない存在となった。
 
 3着のクラヴェルは、自ら勝ちに行っての3着で、コンスタントに重賞で上位に食い込んでいる力量の高さを見せた。今回はシャムロックヒルの予想外の抵抗に屈したが、これで評価を下げるべきではない。

 最後にプレビュー記事で推奨した2頭について触れておきたい。

 4番人気に推されたサンクテュエールは、いったん2番手まで上がったものの、その後はずるずると後退して11着に大敗した。初コンビを組んだ川田将雅騎手によると、第3コーナーから走るのをやめようとする感じがあったとのこと。そのコメントからすると、力量云々以前に、敗因はメンタルの状態にあったのだろうか。

 7番人気のカセドラルベル(牝5歳/栗東・西村真幸厩舎)はスタートで後手を踏み、レースの流れに乗れないまま12着に敗れてしまった。想像以上に馬場状態が合わない面があったのかもしれない。

 ともあれ、”荒れる重賞”の看板に背かず、今年も大波乱となったマーメイドステークス。残念ながら秋シーズンに向けての展望につながるレースとはならなかった。

文●三好達彦

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