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有馬記念でエフフォーリアが見せつけた”現役最強馬”の凄み。2022年に向けて明るい光が射し始めた

三好達彦

2021.12.29

 エフフォーリアはこれで通算成績を7戦6勝としたが、敗れたのはハナ差の2着となった日本ダービーの一回のみ。横山騎手はその日本ダービーでやや勝ちを急いだ騎乗を悔やみ、鹿戸調教師は残念さを胸に秋シーズンを迎えた。そして前走で、無敗の三冠馬コントレイルやマイル女王のグランアレグリアを降し、今回はGⅠレース4勝のクロノジェネシスも堂々たるレースで抑えて見せた。はっきりと世代交代を宣言したかたちで、名実ともに”現役最強馬”になったといって差し支えないだろう。

 来年からは”王者”として中距離戦線を引っ張る存在になるが、どのレースを選択していくのか、海外遠征のプランを含め、進路の決定を楽しみにして待ちたい。

 プレビュー記事で”穴馬”としてピックアップしたディープボンドは、和田竜二騎手の好騎乗もあってスムースに流れに乗り、本来の実力を出し切った。大久保龍志調教師はレース前、「フランス遠征を経験して、馬がタフになった」と明かしていたが、復調途上での好走を見るにつけ、来季には念願のGⅠ制覇を狙える存在になりそうだ。
 
 ファン投票レース4連勝を目指したクロノジェネシスは、直線の勝負どころで横山武史騎手の巧みな騎乗で馬群の内に閉じ込められ、進路を外へ取り直さざるを得なくなるロスが痛かった。それでも最後の叩き合いでステラヴェローチェを競り落として3着を死守した力は流石のひと言。個人的には、彼女の懸命の走りに胸が熱くなった。

 来春から繁殖生活に入るクロノジェネシスだが、父がバゴ、母の父がクロフネという血統から、交配相手を選択するうえでの自由度が高いのは強み。いちファンとして、彼女の仔がターフを駆ける日が待ち遠しい。

 限定的ではあるがファンの入場も始まり、エフフォーリアと横山武史という新星の誕生で締め括られたグランプリ。コロナ禍が収束しないなかではあるが、2022年に向かって明るい光が射し始めたことを感じた。

文●三好達彦

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