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マラソン・駅伝

青山学院大が箱根駅伝で強すぎるワケに迫る!OBから脈々と受け継がれる3つの“マインド”とは?

佐藤俊

2022.02.01

 ただ、一番の違いは、青学大の選手は、歴代の先輩から後輩へと受け継がれてきた「勝者のメンタリティー」「自主性」「意識の高さ」の3本柱が整っているところだろう。自分たちは勝たないといけないというチームの雰囲気がそうさせている部分もあるが、だからといって選手がそのムードを息苦しく感じているわけではない。

 強くなりたいと思い、身近な先輩の成長や取り組みを見て、ジョグの距離を増やしたり、ペースを速めたり、ケアの時間を長くしたり、自主的に練習や取り組みを工夫し、量と質を高めている。勝者になるための自己実現力が極めて高いのだ。

 勝利への欲求のムードを維持したり、自主的に取り組むという姿勢を浸透させるのは簡単そうに見えるが、相当に難しい。意識は自己欲求がなければ高まらないし、行動にも結びつかない。そもそも自分を把握していないと自主性など謳えず、強くなるためのスタートラインにも立てない。頭ごなしに言われても、その瞬間はやるが、すぐに忘れてしまう。見えないものほど、維持するのは難しい。
 
 もちろん年間を通して自分を律し、鉄の意志を貫くことは、世界レベルのアスリートであっても難しい。そうした場合、フィジカルトレーナーがメンタル面のフォローもしている。例えば、練習ができても本番で力を発揮することに不安な表情を見せる選手にはレースに出る前に、どんなレースをするのか、ペースが上がった時にどんな対応するのかなどをイメトレさせる。その結果、実際のレースに流されることなく、自分の走りに専念できるようになる。

 箱根駅伝で青学の選手に乱れがなかったのは、コンディショニングとメンタルトレーニングががっちりとハマり、最高の状態での出走が可能になったからだ。練習は十分に積んできており、心と体が充実すれば、怖いものはない。こうした外部スタッフを積極的に活用し、不確定要素を排除し、強い選手を最後の仕上げでさらに強くする。

 この差がレースでは大きな差になってしまうので、強い選手が次から次へと出てくるように見える。もっとも選手のベースが高いのは間違いないが、ここまでのこだわりと勝つことを徹底する青学大に対抗して勝つのは、やはり容易ではない。

文●佐藤俊(スポーツライター)

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