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スポーツ界での“締め出し“にロシア側は反発と失望。カナダメディアは「スポーツ王朝崩壊」の可能性を示唆

THE DIGEST編集部

2022.03.02

 この説に真相のさておき、確かなのはロシアがウクライナ侵攻を理由にスポーツ界から締め出されているということだ。そして、これが長くロシアが座っていた「スポーツのエリート」の地位を危うくすると、カナダの公共放送『CBC』が指摘している。

「ロシアは2014年にソチで冬季オリンピックを開催するために500億ドル以上(約5兆8000億円)を費やし、さらに歴史上最も精巧なドーピングスキームを考案した。これは全て、スポーツ超大国としての地位を確固たるものとするためだった。今冬の北京五輪でもドーピングスキャンダルで不正と欺瞞に傷ついたはずの“スポーツ王朝”は、それでもこれまでIOC(国際オリンピック委員会)などの上部団体からのぬるい反発を受けるだけで済んでいたが、ウクライナへの侵攻は彼らを弱体化させる可能性がある」

 現在進んでいる各競技での締め出しが進めば、ロシアが国内外でイベントを開催し、それを支配することが難しくなる。国際的なスポーツイベントでアスリートが敵を打ち負かすことにより、繁栄した国というイメージを世界に植え付けるという、ウラジミール・プーチン大統領や過去の同国の指導者たちが使用してきた手段が失われると同メディアは指摘する。
 
 今季のチャンピオンズ・リーグ決勝の会場がサンクトペテルブルクからパリに変更されたことで、ロシアの経済損失は数千万ドルに上ると計算されており、それは非常に大きなものだが、「名声と権力」を最大のモチベーションとするプーチン大統領にとってはこのイベントを開催することこそが重要であり、それを失ったダメージは計り知れないのだという。

 北京五輪では、外交的ボイコットとして主要国の首脳が訪中を見送った中で、プーチン大統領が鳥の巣スタジアムでIOCのトーマス・バッハ会長と開会式に出席したことは、両者の良好な関係を強調したが、フィギュアスケートのカミラ・ワリエワのドーピング事件によってバッハ会長でさえロシアに対して厳しい言葉を浴びせざるを得なくなり、さらに今回の侵攻では「オリンピック休戦違反」によってついに除外勧告が行なわれることとなるなど、完全に関係性は変化している。

 戦闘行為によってスポーツでペナルティーを受けるというケースは、1990年代のユーゴスラビアが思い出されるが、同メディアによれば「欧州にとってロシアの暴挙は、第二次世界大戦以来の衝撃である」ということで、スポーツにおいてもこれまでの秩序が大きく覆される危険があると警告している。

構成●THE DIGEST編集部

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