専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
その他

【名馬列伝】衝撃の復活劇とライバルを差し切った名勝負! グラスワンダーが二度の有馬記念で魅せた底力<後編>

三好達彦

2022.07.17

 1番人気にはオッズ1.5倍でスペシャルウィークが推され、グラスワンダーはオッズ2.8倍の2番人気に甘んじたが、レースは意外なほどあっさりと決着がつく。

 先団から早めに抜け出したスペシャルウィークだったが、その直後まで迫っていたグラスワンダーが一気にそれを飲み込むと、ゴールでは3馬身もの差をつけて圧勝を遂げてしまったのだ。スペシャルウィークの関係者にはショッキングなシーンであり、逆にグラスワンダーの復権はファンを大いに喜ばせた。
 

 宝塚記念でできた2頭の因縁の対決は、年末の有馬記念で再び実現する。ただし、ここへ至る道程はかなり違ったものであった。

 スペシャルウィークは、初戦の京都大賞典(GⅡ、京都・芝2400m)で7着に敗れたものの、そこから一気に巻き返して、天皇賞・秋とジャパンカップを連勝。宝塚記念での屈辱を晴らさんと、ラストランとなる有馬記念に臨んできた。

 一方のグラスワンダーは、始動戦の毎日王冠をハナ差で際どく制したものの、その後は筋肉痛を発症してジャパンカップを回避するなど、順調さを欠きながら、どうにか間に合わせたという状態で、1番人気には推されたものの、陣営は不安を抱えながら大一番を迎えることになった。

 レースはグラスワンダーが後方に控えると、スペシャルウィークがさらにその後ろを進む。淡々とした流れのなか、主役の2頭は向正面から徐々にポジションを押し上げながら直線へ向いた。グラスワンダーは先に抜け出して懸命にゴールを目指すが、そこへ外からスペシャルウィークが強襲。さらにはテイエムオペラオーが2頭に迫ろうとする大激戦となり、最後はグラスワンダーとスペシャルウィークが完全に並んだ状態でゴール。激闘を目にして燃え上がった観客は固唾を飲んで結果を待つが、なかなか掲示板に番号が上がらない。

 そして数分が経っただろうか。ようやく1着を示す場所に上がった番号は「7」。いったんは差されたかと思われたグラスワンダーがスペシャルウィークをわずかに差し返して勝利を収めていたのだ。着差は「ハナ」だったが、実際には3㎝の差しかなかったと言われている。有馬記念史に残る名勝負である。
 
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号