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「前を捉えてくれ」9年目の苦労人が掴んだ悲願のビッグタイトル!砂転向の良血ジュンライトボルトが頂点へ【チャンピオンズカップ】

三好達彦

2022.12.06

 ジュンライトボルトの血統は、父が芝・ダートを問わず活躍馬を多数出したキングカメハメハ。母のスペシャルグルーヴは、曾祖母にダイナカール(オークス)、祖母にエアグルーヴ(天皇賞(秋)、オークス)がいる名牝系に連なる。

 本馬はいわゆる良血馬であり、2018年のセレクトセールで1億2960万円(税込み)という高値で落札されている。デビューから芝路線を使われ、朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ、阪神・芝1600m)に駒を進めた(6着)。その後、3勝クラスまで勝ち上がったものの、芝では頭打ちになり、「以前から使いたいと考えていた」(友道調教師)ダートに路線を変更した。

 初戦こそ2着に敗れたものの、続くBSN賞(オープン、新潟・ダート1800m)を快勝すると、シリウスステークス(GⅢ、中京・ダート1900m)と連勝を飾り、秘めていたダート適性の高さを5歳にして開花させた。

 デビュー9年目にして初のGⅠタイトルを手にした石川騎手は、「直線では進路が見つかれば弾けてくれると信じていました。(追い出したときの)馬の反応が『勝てる』という手応えだったので、何とか前の馬を捉えてくれ、という気持ちでした」と喜びを爆発させた。

 また、友道調教師は来春の予定として、フェブラリーステークス(GⅠ、東京・ダート1600m)やドバイ遠征を挙げており、ダートではいまだ底を見せていない”5歳の新星”の先行きが楽しみになった。

 2着のクラウンプライド、3着のハピはベテランの手綱さばきのアシストを受けての好走。ともに3歳馬であるだけに、これからの成長次第ではダートの主権争いに加われる存在となりそう。とりわけ、横山典弘騎手が「2、3年後にはすごいことになっているかもしれない」と絶賛したハピには大きな期待をかけたくなる。
 
 最後に、人気を裏切ることになったテーオーケインズに触れないわけにはいかないだろう。パドックでも落ち着いて周回し、返し馬でもスムーズな動きを見せており、調子落ちはないと思われていた。高柳調教師、松山弘平騎手ともに「(落ち着いた)いい状態だと感じていた」と語っている。

 しかし、やや立ち遅れて密集した馬群の外々を回されるロスがあったにしろ、直線でもがきながらの4着という結果には不思議さを感じざるを得ない。プレビューで「ムラ駆けの傾向がある」と指摘はしたが、テーオーケインズが初めてGⅠ(JpnⅠ)を勝った昨年の帝王賞(大井・ダート2000m)以降の着順を見ると、【1→4→1→8→1→4】と、一戦ごとに勝利と凡走を繰り返していることが分かる。

 これは推察の域を出ないが、勝った後の反動が大きく、立て直しが難しいタイプなのではないか。能力の高さは疑うべくもないが、全幅の信頼を置くことが難しくなったのは確かだろう。

文●三好達彦

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