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「前走で我慢させた」調教師の戦略がはまったリバティアイランドの載冠。二冠馬の忘れ形見が頂点に【阪神ジュベナイルF】

三好達彦

2022.12.14

 リバティアイランドは、昨年8月に急死した二冠馬ドゥラメンテの忘れ形見。ドゥラメンテ産駒としては、タイトルホルダー(菊花賞、天皇賞(春)、宝塚記念)、スターズオンアース(桜花賞、オークス)に続くJRA・GⅠ勝ち馬となった。

 前走のアルテミスステークス(GⅢ、東京・芝1600m)では、あえて馬群のなかで競馬をさせ、結果として前が壁になってアクセルの踏み出しが遅れたためラヴェルとはクビ差の2着に敗れた。しかし、中内田調教師は道中で抑えがきいたことを評価し、共同記者会見で「前のレースで我慢させたことが今日につながったと思う」とコメントし、彼女の瞬発力、学習能力に自信を深めたようだった。

 ちなみに手綱をとった川田将雅騎手は、5日の検査で新型コロナウイルスへの感染が判明。予定されていた香港のジョッキーイベントへの参加を中止し、阪神ジュベナイルフィリーズも当日の朝に行なった検査次第で乗れなくなる可能性もあったが、幸いにして陰性の結果が出て騎乗OKとなり、リバティアイランドをGⅠタイトルへと導いた。さすが”持ってる男”である。
 
 2着に食い込んだシンリョクカは、父が今年の2歳新種牡馬であるサトノダイヤモンド。デビューは10月の新馬戦(東京・芝1600m)で、ここを上がり3ハロン33秒4の強烈な末脚を繰り出して、2着に3馬身半差を付ける圧勝を飾って評判となった。しかし1勝馬の身で、収得賞金400万円の馬同士の抽選となったが、9分の3という関門を潜り抜けて出走に漕ぎ付けた。

 ただ新馬戦は強い勝ち方だったものの、重賞勝ち馬や好走馬が居並ぶGⅠレースともなると、未知の魅力だけでは評価が伴わず、12番人気に甘んじていたのである。今回はリバティアイランドと同じような位置から追い出されて振り切られたが、これで能力の高さがトップクラスであることが証明されたわけで、伸びしろの大きさを含めて来春が楽しみな存在となった。
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