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クリスマスの中山で頂点に輝くのはイクイノックスだ! 対抗格の2頭には懸念材料【有馬記念プレビュー】

三好達彦

2022.12.24

 翻って、これ以上望めないほどの順調さでグランプリを迎えるのがイクイノックスだ。

 スリリングなレースとなった前走の天皇賞・秋(GⅠ、東京・芝2000m)はまだ記憶に新しいだろう。

 パンサラッサが1000mの通過ラップ57秒4というハイペースで大逃げを打つなか、イクイノックスは中団の後ろ目を追走。直線へ向いてもパンサラッサまで、まだ差は10馬身以上あったが、そこから目の覚めるような末脚を繰り出して差し切っときには、背筋に戦慄が走るほどだった。

 ちなみに上がり3ハロンの時計を比べてみると、パンサラッサは36秒8、イクイノックスは32秒7と、実に4秒1もの差があった。もちろんイクイノックスの上がりは出走馬のなかで最速。ひと夏を越して心身ともに成長し、天賦の武器である末脚の切れがいよいよ本物になったことを感じさせた。

 そして短期の休養をはさんで迎える有馬記念。もともと無駄肉がないシャープな馬体が特徴だった本馬だが、今回は薄い皮膚をとおして筋肉が盛り上がっている様がわかるほどに成長し、俗に言う「馬体に実が入った」ことが如実に表れている。

 1週前の追い切りで速い時計を出した後、最終追い切りは3頭併せの中を進み、軽く仕掛けられると重心を沈めて素晴らしい伸び脚を披露。木村調教師は「スタッフには『いつもどおりで』という指示をして、そのとおりにできました。道中も力むことなく、しっかり馬の後ろで、リラックスして我慢出来て、ゴーサインに反応してくれました」と、仕上がりの順調さを明かした。

 この出来があり、55kgという有利な斤量で出走できる有利さも加えると、先に紹介した2頭、前門の虎であるタイトルホルダーを取り逃がすことも、閘門の狼であるエフフォーリアに差されることも最早あるまい。

 イクイノックスがクリスマスの中山で頂点に輝くと確信している。
 
 もちろん対抗格にはタイトルホルダー、エフフォーリアを評価すべきだが、同時に彼らが図らずも凡走するシーンも想像しておくべきだろう。

 3連勝でジャパンカップ(GⅠ、東京・芝2400m)を制したヴェラアズール(牡5歳/栗東・渡辺薫彦厩舎)、菊花賞(GⅠ、阪神・芝3000m)で2、3着着に食い込んだボルドグフーシュ(牡3歳/栗東・宮本博厩舎)とジャスティンバレス(牡3歳/栗東・杉山晴紀厩舎)、エリザベス女王杯(GⅠ、阪神・芝2200m)を制して”次代の女傑”候補に名乗りを上げたジェラルディーナ(牝4歳/栗東・斉藤崇史厩舎)、この4頭は連下として上位に評価できるだろう。

 そして最後に“大穴”として挙げてきたいのが内の2番枠に入ったイズジョーノキセキ(牝5歳/栗東・石坂公一厩舎)。前走のエリザベス女王杯は重馬場に泣いて10着に大敗したが、良馬場が予想される今年の有馬記念では、鞍上の岩田康誠騎手が得意とする”イン差し”がハマったときの末脚が怖い1頭である。
<了>

文●三好達彦
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