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ジャスティンパレスを”無駄のない”手綱さばきで載冠に導いた名手に拍手!一方、タイトルホルダー陣営には然るべきアナウンスを【天皇賞・春】

THE DIGEST編集部

2023.05.02

 馬場がそれほど悪化していないことを活かして道中は距離損を避けて内ラチ沿いを追走し、勝負所でスムーズに外へ進路を取るという名手らしく卒のない騎乗を見せたクリストフ・ルメール騎手は「馬の動きはとても良かった。最後の直線は(自分も)エンジョイしていました」と相棒のジャスティンパレスを絶賛した。「これで長距離のスーパーホースになりました」と、これからの躍進にも期待を寄せた。

 ジャスティンパレスの父は、これまで天皇賞(春)の優勝産駒を2頭(2連覇のフィエールマンとワールドプレミア)輩出しているディープインパクト。4歳になって完全にひと皮剥けた印象があるジャスティンパレスは、惜しまれながら2019年に亡くなったあまりにも偉大な父の産駒として、最後の”大物”の役割さえ期待されるかもしれない。

 ディープボンド(父キズナ、父の父ディープインパクト)は、これで天皇賞(春)は3年連続2着となった。”シルバーコレクター”と揶揄する声もあろうが、これは本当に底力がある馬にしかできないことで、不甲斐ないレースをした前走からしっかり立て直してきた厩舎スタッフ、しまいの切れに欠ける相棒にとって最善のレース運びで勝ちにいった和田竜二騎手をともにリスペクトしたい。

 ちなみに、この2着で獲得賞金が6億4591万3800円に達したディープボンドは、GⅠ未勝利の馬としては最高賞金獲得記録を樹立したという。
 
 筆者がジャスティンパレスに次いで期待したアスクビクターモアは、「道中は(ハミを)噛んでしまった」(横山武史騎手)とのことで、直線では余力なく11着に大敗してしまった。本質はステイヤーでありながら、やや行きたがる傾向がある本馬だけに、3歳になって以降ずっと手綱を取り続けてきた田辺裕信騎手からのスイッチが裏目に出た印象は拭えない。勝負所で進路が狭くなる不利があったにしろ、何とも残念な結果だった。

 さて、まさかの競走中止になった前年王者のタイトルホルダーである。現段階では、レース後に状態を確認した栗田調教師の「馬は大丈夫」というコメントだけしか出ていないわけで、想像で物を言うのは避けるべきだと思うし、途中で馬を止めたのも、横山和生騎手が異変を感じてのことだったはずである。

 公式発表通りに「跛行」(歩様が乱れること)のみであることを祈りたいし、普通の状態であればトップホースとしての能力の持ち主であることは疑いない。それだけに、こうした事態がなぜ起こったのか。単勝1.7倍という圧倒的な支持を示した多くのファンに対して、関係者からきちんとしたアナウンスがあって然るべきだと思う。

文●三好達彦

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