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杉原愛子が目指す「エンターテイナー」とは? コーチ業を続けながら“二刀流”として挑む「第二章」

THE DIGEST編集部

2023.07.06

 それから1年。コーチ業や審判、エキシビション出演など多方面での活動を続けながら出場した今年の全日本種目別選手権では、エンターテインメント性にさらに磨きが掛かっていた。

 演技開始時には肩をくねらせて歩く“モデルウォーキング”でスタートポジションへ移動。手の指先、足のつま先まで神経をこまやかに行き届かせながらのポージングで「映画 007のテーマ」の曲が始まると、そこから先は世界選手権の代表選考も兼ねた全日本選手権という大会の格にふさわしいハイレベルな技を正確に決めていった。

 1年のブランクを経てカムバックした杉原の演技を、固唾をのみながら見つめていた観客席から一斉に手拍子が起きたのは、90秒間の演技の半ば。曲がJ-POPのアップテンポなものに転換するタイミングで、杉原が頭上で両手を2度叩くと、それを合図に観客席は手拍子に包まれた。華やいだ空気も生まれた。

 杉原は最後の「後方屈伸2回宙返り」でも完璧な着地。終わってみれば、連続技で一度だけ足が前へ移動した箇所以外は素晴らしい出来映えで、内容も点数も文句なしの優勝だった。
 
 杉原は今後も大学でコーチ業を続けながら現役としても本格的に復帰していくことを表明している。審判やエキシビション出演も積極的にやっていくつもりだ。

「今回は選手として大会に出て、“二刀流”ということを体現できたのではないかと思っていますし、近づいたと思っています。体操の魅力を伝えたい、体操の楽しさを小さい子どもたちに伝えていきたい。一番強いのはその思いです」

 なにより杉原自身が体操を楽しんでいる様子があるからこそ、多くの人々に体操の魅力が届くに違いない。二刀流として挑む「第二章」が鮮やかにスタートした。

構成●THE DIGEST編集部


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