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【名馬列伝】スプリントからマイル、中距離GⅠを総なめにした“風の化身”ヤマニンゼファー。距離の壁を突き抜けて執念で掴んだ秋の盾

三好達彦

2024.03.02

 ここからヤマニンゼファーは、持てる能力を徐々に解放していく。

 単勝8番人気で出走した京王杯スプリングカップ(GⅡ、東京・芝1400m)では、当時のトップマイラーであったダイタクヘリオスとダイイチルビーを抑え、勝ったダイナマイトダディから0秒1差の3着に健闘。次はGⅠホースがずらりと顔を並べる春のマイル王決定戦・安田記念(GⅠ、東京・芝1600m)へ駒を進める。

 このレースでは、ヤマニンゼファーは好スタートから先団の6番手を折り合って追走。第3コーナーから位置を徐々に押し上げると3番手で直線へ。するとバテる逃げ・先行馬たちを交わして残り200m付近で先頭に立つ。3200mの天皇賞(春)から転戦してきたカミノクレッセやムービースターなどの激しい追い込みを封じ、見事にGⅠタイトルを手にした。手綱をとった田中勝春(現・調教師)にとっても、これが自身初のGⅠ勝ちを収める記念すべき1勝だった。

 そしてこの年は、マイルチャンピオンシップがダイタクヘリオスの5着、スプリンターズステークスがニシノフラワーとクビ差の2着となって、飛躍のシーズンを終えた。
 
 翌93年はマイラーズカップ(GⅡ、阪神・芝1600m)から始動。田中勝春が騎乗停止中だったため、鞍上を田原成貴にスイッチしたこの一戦を2着とした。続く中山記念(GⅡ、中山・芝1800m)も田原騎手に代打を仰ぎ、デビュー以来はじめてマイル以上の距離を走る。結果は4着ながらタイム差は0秒3という僅差で、距離延長にも柔軟に対応できることを印象付けた。

 そして続く京王杯スプリングカップは先に抜け出したシンコウラブリイを鋭く交わし、1馬身半差を付けてコースレコードタイで優勝。続いて連覇の懸かった安田記念では、外よりの7枠14番からスムーズに2番手を追走すると、直線では楽々と抜け出し、猛追するイクノディクタスを1馬身1/4差退けて勝利し、マイル路線の王座を不動のものにした。
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