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食と体調管理

「貧血症」克服のために食生活を見直し、「心配性」の性格もプラスに。五輪2冠のスイマー、大橋悠依選手の「勝利への準備と対策」

THE DIGEST編集部

2022.04.01

写真提供:イトマン東進

写真提供:イトマン東進

――40人中40位という記録が残っている大学2年時の大スランプについて、貧血も原因のひとつだったとうかがいました。貧血の症状のようなものは出ていなかったのですか?

 高校時代まで1度もなくて、大学に入って突然からでした。食べる量は変わってないのに、練習量が桁違いに増えたことが関係していたのだと思います。

 貧血は、血液中にあるヘモグロビンが少なくなることだけではなくて、貯蔵鉄という、肝臓に貯蔵されている鉄分も関係しているのですが、大学1年の時にその貯蔵された分も使ってしまって、それがいよいよ底をついて、症状に表われたのだと思います。

――具体的にはどのような症状があったのでしょうか?

 思い返すと「階段を登るのもきつかったかも」くらいで、わかりやすい症状はなかったんです。水泳で言うとスタートして、浮き上がってきたら、すでに200mとか泳いだ後みたいな疲労感で、身体が重くて、思うように動かない。その時はおかしいなと思いつつも、原因がわからなくて……。あとからお医者さんに言われたのは「アスリートはもとも普通の体力じゃないから日常生活はできてしまう」ということで、一般の方より気づきづらいそうです。

 ですから、自分自身も、周りの人もなかなか身体の中の不調に視点がいかなくて、そんな状態で半年ぐらい練習していましたね。「やっぱり気持ちの問題なのでは」と言われたこともあって、それは結構しんどかったですね。

――病院へいくきっかけは? それほど追い詰められていたということですか?

 いえ、病院に行ったのはたまたまでした。帰省している時に自転車でケガして、そこから菌が入ってリンパが腫れたので血液検査をしに行ったら、お医者さんが「リンパが腫れている原因はわかりませんが、すごい貧血です」って(笑)。

――まさしくケガの功名ですね。でも、原因がわかって少し安心したのでは?

 そうですね。いろいろとしんどいこともあった中で、原因は身体の見えないところにあったんだな、自分のせいじゃなかったんだな、と思えたので気持ちが少し楽になりました。

――貧血を経験してから変わったことはありますか?

 やはり食事への意識は変わりましたね。とくに鉄分が多いと言われている、シジミ、アサリといった貝類やひじきなどは毎日欠かさず食べていました。何か足りないなと感じた日は、自分でも料理をつくりましたし、母親も実家からクール便で送ってきてくれるなど協力してくれました。

――別の記事で、苦手だったきのこを克服したと読みました。きのこに挑戦しようと思ったきっかけがあったのでしょうか?

 社会人になってからの話ですが、練習帰りによく食べに行くお店のマスターが、品数をたくさん出してくれるのですが、その料理にきのこが多くて。栄養のことを考えてつくってもらっている以上、残せないなと思って食べ始めたのがきっかけです。

 たとえば国立スポーツ科学センターの食事でも、きのこは絶対に使われているのですが、それだけ重要な、必要なものだということ。アスリートにとって身体を大きく、強くするということも大事ですけど、身体の調子を整えるというのもかなり重要なので、その面において、きのこが必要なのかなって。自分でつくる時も鍋や味噌汁にきのこを入れるのが好きです。

――身体の調子を整えるという点で、腸について意識したことはありますか?

試合の日とかは特にですが、調子悪いという状態をつくりたくないので、腸もいい状態を保っておきたいと思っています。

――大橋選手は栄養についてご自身で勉強もされて、アスリートフードマイスターの資格を取得されているのですね。

 もともと栄養に興味がありました。アレルギーをもっていましたし、それこそ貧血になったっていう経験もあって、自分でできる範囲で勉強したいなと思って取り組みました。競技生活においてもプラスになっていると思います。

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