――世界選手権(6月18~7月3日にハンガリーのブダペストで開催)の日程が変更になりましたが、コンディションづくりなどに影響はありますか?
数か月前から準備するので多少の影響はありますが、もう延期になるのは慣れました。ただ今回のように、延期になって、その何日か後にやっぱりやりますみたいなのが起こっちゃうと、気持ち的にもそうですし、焦ってしまう部分はありますね。
――大橋さんはメドレーだけでなく、たくさんの種目に出場されますが、インターバルも短いと思います。身体と気持ちをどう整えているのですか?
時間をしっかりと把握すること、自分の調整方法を崩さないこと。そして頭を切り替えも大切ですね。レースが終わった瞬間に、いまの結果はひとまず置いておいて、次のレースにどういう風に泳ごう、というのは考えます。
――間に何か食べたりはするんですか?
レースとレースの間に、ダウンって言って軽く流したりしながら泳ぐんですけど、その時にエネルギーゼリーなどを。次まで15分とかしかない時はジャージのポケットに忍ばせておいたり、トレーナーさんにマッサージを受けている間にサッと飲んだりもしています。その日のレースのためでもありますが、そこでしっかり補給しておかないと、次の日に影響してくるので、補食は意識しています。
――目標であり夢だった五輪で金メダル。モチベーションを含めた気持ちの面での変化は?
オリンピックまでは自分の感覚が本当に合っているのか手探りでした。それが、ちゃんと結果に出たことで、自分が良いと思ったことを信じられるようになれました。そして、自分の一番良い泳ぎの感覚というのは好きなので、それをもう1回したいというか、それを超えるような、泳ぎをもう1回したい。それが今のモチベーションですね。
――大橋さんの泳ぎ方は「きれい」と評されますが、意識はしていますか?
そのために泳いでいるわけではないですけど、泳ぎがきれいと言われるのはとてもうれしいです。もともとパワーがあるタイプではないですし、抵抗を少ない泳ぎが多分一番速いと思うので、それを突き詰めていった結果、今の泳ぎになりました。
――今後の課題、取り組みたいと思っていることはありますか?
過去のケガの影響もあって、身体の左右差が大きくなっていて、バランスが少し良くないと感じています。完全に左右差をなくすっていうのは難しいのですが、もうちょっと弱い方を強い方に近づけたいと思っています。
――夢に向かって頑張るジュニアアスリートたちへメッセージをお願いします。
アスリートはメンタルが強い方が良いと思われていますよね。でも私個人としては、不安なこと、心配なことを自分でわかる方がいいなと思っています。それに対して対策ができれば問題はないわけですし、自分で考える力、準備する力が養えます。だから緊張とか、心配とか、不安とか、別にあってもいいのかなって。
私はかなりの心配性なので、隣を泳ぐ選手がどういうレースをするのか、個人メドレーの場合はどの種目が得意で、どの種目が不得意なのか、前半から行くタイプなのか、平泳ぎから上がってくるのかなどを、かなり入念に調べて事前に頭に入れておきます。そして、レースのいろいろな状況、展開をシミュレーションしておきます。そうすることで、たとえば「ここで並ばれても焦らないで大丈夫とか、次のターンからこういけば多分勝てるな」とか、レース中にも対応することができるんです。
この心配性で、いっぱい考える性格は、競技生活においてかなりプラスになっていると確信しています。だから、子どもたちには、悩むことや迷うことは悪いことじゃないし、弱いことじゃないよ、って伝えたいですね。
【プロフィール】
大橋悠依(おおはしゆい)
1995年10月18日生まれ、175cm
イトマン東進所属、滋賀県出身。
姉の影響を受けて幼稚園の時に水泳を始め、小3の時に50m背泳ぎで初めてジュニアオリンピックに出場。高校時代には滋賀県記録を次々に塗り替えて東洋大学へ。2年時に貧血に見舞われるも、それを克服し、翌2017年に初の世界選手権代表入りを果たす。日本のエースに成長し臨んだ2021年東京五輪では400mと200mの個人メドレーにおいて日本競泳女子史上初の2冠に輝き、紫綬褒章も受章した。競泳にストイックに打ち込む一方、アイドル好きという一面も。故郷彦根市のゆるキャラ「ひこにゃん」も好き。
数か月前から準備するので多少の影響はありますが、もう延期になるのは慣れました。ただ今回のように、延期になって、その何日か後にやっぱりやりますみたいなのが起こっちゃうと、気持ち的にもそうですし、焦ってしまう部分はありますね。
――大橋さんはメドレーだけでなく、たくさんの種目に出場されますが、インターバルも短いと思います。身体と気持ちをどう整えているのですか?
時間をしっかりと把握すること、自分の調整方法を崩さないこと。そして頭を切り替えも大切ですね。レースが終わった瞬間に、いまの結果はひとまず置いておいて、次のレースにどういう風に泳ごう、というのは考えます。
――間に何か食べたりはするんですか?
レースとレースの間に、ダウンって言って軽く流したりしながら泳ぐんですけど、その時にエネルギーゼリーなどを。次まで15分とかしかない時はジャージのポケットに忍ばせておいたり、トレーナーさんにマッサージを受けている間にサッと飲んだりもしています。その日のレースのためでもありますが、そこでしっかり補給しておかないと、次の日に影響してくるので、補食は意識しています。
――目標であり夢だった五輪で金メダル。モチベーションを含めた気持ちの面での変化は?
オリンピックまでは自分の感覚が本当に合っているのか手探りでした。それが、ちゃんと結果に出たことで、自分が良いと思ったことを信じられるようになれました。そして、自分の一番良い泳ぎの感覚というのは好きなので、それをもう1回したいというか、それを超えるような、泳ぎをもう1回したい。それが今のモチベーションですね。
――大橋さんの泳ぎ方は「きれい」と評されますが、意識はしていますか?
そのために泳いでいるわけではないですけど、泳ぎがきれいと言われるのはとてもうれしいです。もともとパワーがあるタイプではないですし、抵抗を少ない泳ぎが多分一番速いと思うので、それを突き詰めていった結果、今の泳ぎになりました。
――今後の課題、取り組みたいと思っていることはありますか?
過去のケガの影響もあって、身体の左右差が大きくなっていて、バランスが少し良くないと感じています。完全に左右差をなくすっていうのは難しいのですが、もうちょっと弱い方を強い方に近づけたいと思っています。
――夢に向かって頑張るジュニアアスリートたちへメッセージをお願いします。
アスリートはメンタルが強い方が良いと思われていますよね。でも私個人としては、不安なこと、心配なことを自分でわかる方がいいなと思っています。それに対して対策ができれば問題はないわけですし、自分で考える力、準備する力が養えます。だから緊張とか、心配とか、不安とか、別にあってもいいのかなって。
私はかなりの心配性なので、隣を泳ぐ選手がどういうレースをするのか、個人メドレーの場合はどの種目が得意で、どの種目が不得意なのか、前半から行くタイプなのか、平泳ぎから上がってくるのかなどを、かなり入念に調べて事前に頭に入れておきます。そして、レースのいろいろな状況、展開をシミュレーションしておきます。そうすることで、たとえば「ここで並ばれても焦らないで大丈夫とか、次のターンからこういけば多分勝てるな」とか、レース中にも対応することができるんです。
この心配性で、いっぱい考える性格は、競技生活においてかなりプラスになっていると確信しています。だから、子どもたちには、悩むことや迷うことは悪いことじゃないし、弱いことじゃないよ、って伝えたいですね。
【プロフィール】
大橋悠依(おおはしゆい)
1995年10月18日生まれ、175cm
イトマン東進所属、滋賀県出身。
姉の影響を受けて幼稚園の時に水泳を始め、小3の時に50m背泳ぎで初めてジュニアオリンピックに出場。高校時代には滋賀県記録を次々に塗り替えて東洋大学へ。2年時に貧血に見舞われるも、それを克服し、翌2017年に初の世界選手権代表入りを果たす。日本のエースに成長し臨んだ2021年東京五輪では400mと200mの個人メドレーにおいて日本競泳女子史上初の2冠に輝き、紫綬褒章も受章した。競泳にストイックに打ち込む一方、アイドル好きという一面も。故郷彦根市のゆるキャラ「ひこにゃん」も好き。