皐月賞を制したジオグリフは前述の３頭に次ぐ４番手に推したい。それには二つの理由がある。まずは彼がスタミナタイプである点だ。それはタフな洋芝のもとで行なわれた札幌２歳ステークス（Ｇ３、札幌・芝1800メートル）を快勝していることからも分かる。

　皐月賞当日の中山の芝コースは、午前中の第４レースまで「稍重」だったように、タフさが要求される馬場状態だった。まずその条件が、福永祐一騎手の進路の取り方の見事さとともにピタリとハマったのが皐月賞だったのではないか、と捉えている。

　そして、もう一つの理由は、血統と体形に関する部分だ。

　父のドレフォンは現役時代、米国ダートの1200～1400メートルで活躍したスプリンターで、ジオグリフの胴の詰まった肉付きの良い馬体は、スプリンターは言い過ぎにしても、マイラータイプと感じさせ、2400メートルへの距離延長が不利に働くのではないかと考えるからである。

　ただ、それでも皐月賞を鮮やかに制したのは確かで、そのリスペクトの意味を込めて４番手としたい。

　基本的に上記４頭のなかから勝ち馬が出ると想定しているが、どれかが思わぬ崩れを見せた際に、２～３着に食い込んでくる可能性がある穴馬をピックアップしてみる。

　まず前走で重賞勝ちを収めた３頭、京都新聞杯（Ｇ２、中京・芝2200メートル）を鋭い追い込みで制したアスクワイルドモア（牡３歳／栗東・藤原英昭厩舎）、デビューから３連勝で毎日杯（Ｇ３、阪神・芝1800メートル）を逃げ切ったピースオブエイト（牡３歳／栗東・奥村豊厩舎）、青葉賞（Ｇ２、東京・芝2400メートル）を鮮やかな差し切り勝ちを収めたディープインパクト産駒のプラダリア（牡３歳／栗東・池添学厩舎）は押さえておくべきだろう。
  　最後に大穴候補を挙げるなら、２分の１の抽選を潜り抜けて出走に漕ぎ付けたジャスティンロック（牡３歳／栗東・吉岡辰弥厩舎）になるか。昨年はラジオNIKKEI賞２歳ステークス（Ｇ３、阪神・芝2000メートル）を勝っており、スローペースで先行有利の傾向が強かった皐月賞でも、道中は馬場の悪いインを進みながら、しぶとく追い込んで０秒６差の７着に入っている。重賞勝ちの際に乗っていた松山弘平騎手に手綱が戻るのも好材料で、抽選を突破した運を活かせるか。

文●三好達彦

【名馬列伝】代替種牡馬から生まれた稀代の優駿キタサンブラック。鍛え抜かれたタフさでG１レース７勝の王者に＜前編＞

【名馬列伝】皇帝が送り出した天才、トウカイテイオー。無敗の二冠制覇も骨折に泣く【前編】

【名馬列伝】トウカイテイオー”奇跡の復活劇”。「中364日でのＧⅠ勝利」で波乱万丈の現役生活に幕引き【後編】