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【名馬列伝】奥深き血統的背景を持つスペシャルウィークが、武豊に悲願の称号を贈るまで<前編>

三好達彦

2022.07.30

 そしてレースは彼の独壇場になった。

 キングヘイローが引っ掛かってハイペースで逃げ、セイウンスカイが2番手に付けると、好スタートを切ったスペシャルウィークは中団に待機。キングヘイローがハイペースを刻んだため、理想的なポジションとなった。
 
 そして迎えた直線。キングヘイローがずるずると後退し、セイウンスカイが粘ろうとするが、馬群の外目から爆発的な末脚を繰り出したスペシャルウィークがそれを余裕の手応えで交わし去ると、あとは独走状態。2着に追い込んできたボールドエンペラーに5馬身差を付けてゴールへ飛び込み、武豊騎手は何度も馬上でガッツポーズをして喜びをかみしめた。

 レース後、10度目の挑戦でついにダービー・ジョッキーの仲間入りを果たした武豊は、
「ダービーを勝つことは子どもの頃からの夢だったので、本当に嬉しい」
 と相好を崩した。

 実はこのレースで、冷静さをもって知られる武豊は珍しいミスを犯していた。直線の半ばでステッキ(ムチ)を落としてしまい、持った手綱の余った部分をムチ替わりに使って馬を追っていたという。

 日本ダービーがいかに特別な存在であるかが分かるエピソードである。

【動画】1998年 日本ダービー(JRA公式YouTube)

 スペシャルウィークはその後、秋の京都新聞杯(GⅡ、京都・芝2200m)を勝って菊花賞(GⅠ、京都・芝3000m)に臨んだが、セイウンスカイの乾坤一擲の逃げの前に屈して2着に敗れる。続いて、騎乗停止中の武豊に替わって岡部幸雄が手綱をとって出走したジャパンカップ(GⅠ、東京・芝2400m)でも、エルコンドルパサー、エアグルーヴに次ぐ3着として、3歳のシーズンを終えた。
(文中敬称略/前編・了)

文●三好達彦
【名馬列伝】京都に咲き、京都に散ったライスシャワー。宿敵の三冠を阻んだ菊花賞はいかなるレースだったのか?<前編>

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【名馬列伝】「普通の牝馬じゃない、牡馬にも勝てる馬だ」名調教師を驚愕させたエアグルーヴ
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