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【皐月賞】“無敗”ソールオリエンスが怒涛の豪脚でまず一冠!父キタサンブラックの“価値”証明と大種牡馬の血脈の底力

三好達彦

2023.04.18

 それにしても初年度産駒からイクイノックス、2年目の産駒からソールオリエンスを出すとは、種牡馬としてのキタサンブラックの能力にも驚くばかりだ。初年度の種付料が500万円(受胎確認後支払)というリーズナブルさであったことからも、成績面で全弟のディープインパクトよりはるかに劣るブラックタイドを経ているキタサンブラックへの期待度が、さほど高くはなかったことが分かる。そして実際に、関係者からそうした見方に沿ったコメントを耳にしたこともある。

 しかしキタサンブラックは、そうした考え方やイメージを見事に覆しつつある。これも競馬の血統の面白さであり、また言うまでもなく種牡馬サンデーサイレンスの血脈が持つ底力に改めて驚嘆させられる。
 
 さて、2着以下に目を移すと、本当に惜しかったのは、いったんは完全に抜け出した2着のタスティエーラだ。ハイペースで先行した馬が総崩れしたなか、前目の5番手を追走し、直線では先に仕掛けて自ら勝ちに行っての2着で、これは立派な競馬。惜しいことに今年の皐月賞ではその前に1頭、怪物級の馬がいた。そういうことだ。

 3着のファントムシーフは落鉄があったとのことだが、その影響がどの程度のものかは判断が付かないし、4着以下の馬にしても、これだけ特殊な馬場状態のもとでの競馬となると、力を出し切れなかったものもいたであろう。結果論とはいえ、前へ付けて飛ばし過ぎたベラジオオペラ(10着)はその代表例である。

 レース前には“混戦模様”と言われていたが、蓋を開けてみると、実際はソールオリエンスが日本ダービー制覇へ向けて抜きん出ているという事実をマスコミやファンに向けて突き付けるような一戦であった。

文●三好達彦

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