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【高松宮記念】大波乱! 異色の戦歴を持つ12番人気ファストフォースはなぜ29戦目にしてG1初勝利を飾れたのか?

THE DIGEST編集部

2023.03.28

G1初戴冠を果たしたファストフォース。道悪のレースを見事に制した。写真:産経新聞社

G1初戴冠を果たしたファストフォース。道悪のレースを見事に制した。写真:産経新聞社

 またも春雨の道悪が大波乱を呼んだ。

 春のスプリント王決定戦、高松宮記念(GⅠ、中京・芝1200m)が行われ、単勝12番人気のファストフォース(牡7歳/栗東・西村真幸厩舎)が中団から抜け出して優勝。2着には2番人気のナムラクレア(牝4歳/栗東・長谷川浩大厩舎)が追い込み、3着には13番人気のトゥラヴェスーラ(牡8歳/栗東・高橋康之厩舎)が突っ込んで、3連単の払戻金は66万8280円という大波乱となった。

【動画】「不良」馬場となった高松宮記念を制したのはファストフォース! 中団から一気に抜け出しG1初戴冠
 1番人気に推されたメイケイエール(牝5歳/栗東・武英智厩舎)は悪化した馬場状態が堪えたか12着に大敗し、3番人気のアグリ(牡4歳/栗東・安田隆行厩舎)も最後の競り合いで脚が上がって7着に敗れた。

 直近の3年、いずれも「重」馬場で行われて荒れた結果となっていた高松宮記念だが、ことしも土曜から雨に祟られ、当日も降り止まぬままレースを迎えた。馬場状態は「不良」で、これは2014年以、9年ぶりのこととなった。そのためファンの評価も大いに割れ、1番人気のメイケイエールのオッズが4.5倍、2番人気のナムラクレアが5.4倍、3番人気のアグリが6.3倍と僅差でせめぎ合う状況に。事実、各馬のタフな馬場への適応能力が結果をシビアに左右した。

 ゲートが開くと、好スタートを切ったオパールシャルム(牝6歳/美浦・武藤善則厩舎)が逃げる様子を見せたが、手綱をしごかれたキルロード(せん8歳/美浦・田村康仁厩舎)がそれを交わして先頭に立つ。3番手にはアグリが付け、メイケイエールはその後ろの5番手付近をキープ。ナムラクレアは中団の後ろ目となる9~10番手を追走した。

 600mの通過ラップは35秒6と一見は平凡な時計に見えるが、馬場が「不良」であることを考慮するとペースはかなり速く、馬場の外目のほうが伸びるトラックバイアスもあり、先行勢にはかなり厳しい展開となった(ちなみに1000mの通過ラップは59秒1)。

 第4コーナーを回って馬群が内外へ大きく広がりながら直線へ向くと、まず積極策をとったアグリが先頭に立って粘り込みをはかろうとする。しかし後続もそうはさせじとアグリに襲い掛かり、なかでも馬群をさばいて伸び脚が光ったファストフォースが替わって先頭に躍り出る。外からはナランフレグが追いすがり、1頭だけ最内を通ったトゥラヴェスーラがしぶとく伸びたが、ファストフォースはそれらを抑えて優勝。団野大成騎手、西村真幸調教とともに、GⅠ初制覇の栄冠に輝いた。
 
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