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【名馬列伝】“弾丸シュート”の如く強敵を撃破したサッカーボーイ。常識を覆した夏の北海道遠征が運命を変えた

三好達彦

2023.07.18

 その後、天皇賞(秋)への出走も考慮されたが、捻挫で球節を痛めたこともあり、充分に休養が取れるマイルチャンピオンシップ(GⅠ、京都・芝1600m)に目標を切り替えた。前走から+18㎏という馬体重が懸念されはしたが、サッカーボーイにとってそんな心配は些事に過ぎなかった。

 後方集団の前目を追走していたサッカーボーイは第3コーナーからの坂の下りに沿うように加速しながら位置を押し上げ直線へ向くと、またも『弾丸シュート』が炸裂。粘り込みをはかるミスターボーイを楽々と交わして先頭に立つとまたも独走態勢となり、勝負が決してから追い込んで来たホクトヘリオスに4馬身の差を付ける楽勝で3歳秋にしてマイル戦線の頂点に立ったのだった。
 
 その後、タマモクロスとオグリキャップの二強対決に沸く有馬記念(GⅠ、中山・芝2500m)に参戦。後方からよく追い込んだが、二強には届かず4位で入線。3位入線のスーパークリークが進路妨害で失格となったため、繰り上がりで3着となり、一介のマイラーでないことも証明。この年のJRA賞では、最優秀短距離馬に選出された。

 その後は骨折、蹄の病気に相次いで見舞われたサッカーボーイは、陣営の願い叶わず1989年に現役を引退。種牡馬としてもナリタトップロード(菊花賞)、ヒシミラクル(天皇賞・春などGⅠ3勝)、ティコティコタック(秋華賞)を輩出するなど成功を収めた。そして、種牡馬を引退して功労馬として過ごしていた社台スタリオンステーションで2011年、蹄葉炎のため26歳で世を去った。

 現役生活はわずか1年半に過ぎないが、好調時に繰り出される、あの弾むようなフットワークは唯一無二の素晴らしさだった。もし、怪我や病気がなければどこまで行けたのか。そう夢想するのも、たまには悪くない。

文●三好達彦

【動画】まさに『弾丸シュート!』強豪を蹴散らしたサッカーボーイの函館記念

【動画】3歳でマイル王に輝いたサッカーボーイのマイルCS

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