今年の3歳世代で、特に活躍馬が目立つキズナ産駒のジャスティンミラノ。父が日本ダービー馬、母の父エクシードアンドエクセル(Exceed And Excel)は豪州のチャンピオンサイアーと、血統的にダービー(2400m)への距離延長は問題ない。また、ハイペースでも前目に付けられ、なおかつ良い脚が長く使えるのもストロングポイント。筆者は現時点で、無敗の二冠馬の誕生に『当確』の印を打ちたいと思うほどだ。
マカヒキ(16年)、ワグネリアン(18年)、ドウデュース(22年)で日本ダービーを3度制している友道調教師がもし、4度目の勝利を引き寄せると、日本競馬史上最高の調教師とされることから「大尾形」と呼ばれる尾形藤吉の8勝に続き、歴代勝利数で単独2位となる。そして、馬房数の制限が無い時代に残した尾形の記録に関するアドバンテージを差し引くと、激烈な競争環境のなかで友道調教師が刻んできた数字は驚異的なものだと筆者は考えている。
7番人気ながら2着に突っ込んできたコスモキュランダは、前走の弥生賞(GⅡ、中山・芝2000m)でシンエンペラーを抑えて勝利しており、鞍上に「マジックマン」こと名手ジョアン・モレイラ騎手を招いたわりに注目度が低すぎた感がある。
本馬の父は皐月賞、大阪杯と芝のGⅠを2勝しているアルアイン(父ディープインパクト)で、母ドバイマジェスティは米GⅠブリーダーズカップ・フィリー&メアスプリントを制した良血である。2000mがジャストフィットの予感があるが、2021年の日本ダービー馬シャフリヤールはアルアインの全弟であり、意外と距離の融通性も持ち合わせているかもしれない。
プレビュー記事で『主軸』に指名したジャンタルマンタルは、手綱を取る川田将雅騎手の馬場読みの的確さと、それに沿ったプランの遂行技術の高さというサポートを得て、いったんは「やったか!」と思わせる見せ場を作っての3着。勝ち馬とはクビ+1/2身の0秒1差に粘り込み、2歳チャンピオンに輝いた能力の高さをあらためて示したと言えるだろう。
まだ次走の予定は発表されていないが、本質的にはマイラーであるという筆者の見方は変わらない。日本ダービーに進めば評価を下げざるを得ないが、NHKマイルカップ(GⅠ、東京・芝1600m=5月5日)を狙うなら確勝級だと考えている。
最後に1番人気に推されたレガレイラについて触れておくと、「牝馬だから」というよりも、大方が後方からのレースを余儀なくされたことに加え、当日の高速馬場だと勝負は苦しかった。厳しい言い方をすると、話題性が人気にすり替わったケースだと言わざるを得ない。
また、本馬が勝てば「1948年のヒデヒカリ以来、76年ぶりの牝馬による制覇」と喧伝されたわけだが、当時は日本が太平洋戦争に敗れた1945年からまだ3年しか経っておらず、競走馬生産の数もレベルも著しく低落していた時期のこと。馬の能力自体が玉石混交で、牡牝の差もそれほど大きなものであったとは考えづらく、ヒデヒカリが例えば07年のダービー馬であるウオッカ、GⅠ7勝の名牝ジェンティルドンナ級の競走能力を持っていたとは言えない。記録であることは間違いないが、そうした時代背景に気を配る必要はあるだろう。
ただし、レガレイラのチャレンジを否定するわけではない。馬体のみならず、スタートの悪さも含めて成長途上にあることは間違いない。将来的に再び、混合GⅠで牡馬と互角以上の勝負ができる馬に育ってくることを期待したいと思っている。
取材・文●三好達彦
【動画】コースレコードを更新する超高速決着!! ジャスティンミラノが皐月賞を制す!
マカヒキ(16年)、ワグネリアン(18年)、ドウデュース(22年)で日本ダービーを3度制している友道調教師がもし、4度目の勝利を引き寄せると、日本競馬史上最高の調教師とされることから「大尾形」と呼ばれる尾形藤吉の8勝に続き、歴代勝利数で単独2位となる。そして、馬房数の制限が無い時代に残した尾形の記録に関するアドバンテージを差し引くと、激烈な競争環境のなかで友道調教師が刻んできた数字は驚異的なものだと筆者は考えている。
7番人気ながら2着に突っ込んできたコスモキュランダは、前走の弥生賞(GⅡ、中山・芝2000m)でシンエンペラーを抑えて勝利しており、鞍上に「マジックマン」こと名手ジョアン・モレイラ騎手を招いたわりに注目度が低すぎた感がある。
本馬の父は皐月賞、大阪杯と芝のGⅠを2勝しているアルアイン(父ディープインパクト)で、母ドバイマジェスティは米GⅠブリーダーズカップ・フィリー&メアスプリントを制した良血である。2000mがジャストフィットの予感があるが、2021年の日本ダービー馬シャフリヤールはアルアインの全弟であり、意外と距離の融通性も持ち合わせているかもしれない。
プレビュー記事で『主軸』に指名したジャンタルマンタルは、手綱を取る川田将雅騎手の馬場読みの的確さと、それに沿ったプランの遂行技術の高さというサポートを得て、いったんは「やったか!」と思わせる見せ場を作っての3着。勝ち馬とはクビ+1/2身の0秒1差に粘り込み、2歳チャンピオンに輝いた能力の高さをあらためて示したと言えるだろう。
まだ次走の予定は発表されていないが、本質的にはマイラーであるという筆者の見方は変わらない。日本ダービーに進めば評価を下げざるを得ないが、NHKマイルカップ(GⅠ、東京・芝1600m=5月5日)を狙うなら確勝級だと考えている。
最後に1番人気に推されたレガレイラについて触れておくと、「牝馬だから」というよりも、大方が後方からのレースを余儀なくされたことに加え、当日の高速馬場だと勝負は苦しかった。厳しい言い方をすると、話題性が人気にすり替わったケースだと言わざるを得ない。
また、本馬が勝てば「1948年のヒデヒカリ以来、76年ぶりの牝馬による制覇」と喧伝されたわけだが、当時は日本が太平洋戦争に敗れた1945年からまだ3年しか経っておらず、競走馬生産の数もレベルも著しく低落していた時期のこと。馬の能力自体が玉石混交で、牡牝の差もそれほど大きなものであったとは考えづらく、ヒデヒカリが例えば07年のダービー馬であるウオッカ、GⅠ7勝の名牝ジェンティルドンナ級の競走能力を持っていたとは言えない。記録であることは間違いないが、そうした時代背景に気を配る必要はあるだろう。
ただし、レガレイラのチャレンジを否定するわけではない。馬体のみならず、スタートの悪さも含めて成長途上にあることは間違いない。将来的に再び、混合GⅠで牡馬と互角以上の勝負ができる馬に育ってくることを期待したいと思っている。
取材・文●三好達彦
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