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競馬

【名馬列伝】大種牡馬サンデーサイレンス「最初の大物」バブルガムフェロー 3歳馬にも門戸解放された天皇賞で完遂した革新的“GⅠ挑戦ローテ“

三好達彦

2025.07.28

 前哨戦の毎日王冠(GⅡ、東京・芝1800m)で勝ち馬から0秒2差の3着と、古馬に劣らぬ能力を見せたバブルガムフェローは勇躍、天皇賞へと向かう。それまでは全戦でコンビを組んでいた岡部幸雄がタイキブリザードとブリーダーズカップ・クラシック(米G1)に参戦するため、藤沢が手腕を高く買っていたものの、GⅠレースは未勝利の蛯名正義に手綱が託された。藤沢が渡米する前に蛯名に出したオーダーは「勝てるから、強気に乗れ」だった。

 サクラローレル、マーベラスサンデー、マヤノトップガン、ジェニュインと、錚々たるGⅠホースが顔を揃えるなか、バブルガムフェローは単勝オッズ7.4倍の3番人気に推されてレースを迎えた。4番枠から好スタートを切ったバブルガムフェローは、逃げたい2頭を先に行かせて3番手を取る積極策。1000mの通過が60秒3というスローペースで流れるなか、「強気に乗れ」という藤沢のオーダーは実に的を射たものとなった。

 そして迎えた直線。前の2頭に並びかけたバブルガムフェローは、後続が動き出すのを待って一気にスパート。すると、力強くしぶとい末脚を繰り出して先頭に躍り出て、後ろから迫るマヤノトップガン、サクラローレルを僅かに抑えてゴールした。見事3歳馬による天皇賞(秋)制覇という偉業を成し遂げた。そして同時に、のちに名ジョッキーの評価を受ける蛯名に初のGⅠタイトルをプレゼントしたのだった。
 
 このGⅠ勝利は、自身の名誉だけではなく、3歳馬の天皇賞(秋)挑戦を促すという意味でも効果は絶大だった。多くの3歳馬が参戦するなか、2002年はやはり藤沢和雄厩舎のシンボリクリスエスが、2021年には皐月賞馬エフフォーリアが、2022年にはイクイノックスが勝利を挙げ、今では長い距離が不適な3歳馬に菊花賞を回避させ、天皇賞(秋)を選択することが“普通の出来事”として定着したのはご存知の通り。その嚆矢が95年に2着となったジェニュイン、そして何より29年前に優勝を遂げたバブルガムフェローにあったことを忘れてはならないだろう。

 ちなみに、バブルガムフェローが不在だった96年の菊花賞は、日本ダービー2着のサンデーサイレンス産駒ダンスインザダークがアクロバティックな勝利を収めている。そして、日本競馬における「サンデーサイレンス狂騒曲」は一気に速度を増していくのだった。

文●三好達彦

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