――歳を重ねても食べたい時に食べたい物を食す考え方は変わらず?
「変わらなかったですね。3年連続で得点王を取った時(2015年/33歳)も外食をしたりしていましたからね。ずっと変わらないです」
――体調管理において、「腸」の働きも注目されていますが、意識したことはありますか?
「実は自分、便秘気味なんです(苦笑)。4日間、出ない時もあって。それは小学生の時から。小さい時は病院で浣腸をしてもらったりしましたが、大人になっても変わらず。お酒を飲んだ次の日は出てスッキリしますが(笑)、出ないとやっぱり練習前や試合前にムズムズして気持ち悪い。それは悩みでしたね。
ある年に失敗もあって(苦笑)。お湯に大根と梅干を入れて煮込んだスープを飲むと、出るんですよね。それで一度、試合前に家で自分で作って飲んだら……試合中にトイレを我慢し続けることになってしまった(苦笑)。90分プレーしましたが、あれは二度とやらないと思いましたよ」
――では嘉人さんに憧れる学生たちに向けたアドバイスもお願いします。まずゴールを奪う秘訣、独自のトレーニング法はありましたか?
「特にはなくて、やり続けたのはシンプルなシュート練習ですね。だけど、俺の蹴り方は独自で、今まで所属したチームで同じ蹴り方をできる選手はいなかった。その蹴り方は元々、自分もできなくて、壁に打ったり、キーパーに入ってもらって蹴る方向を伝えながらそれでもセーブできないシュートをひたすら練習しました。軸足が1ミリでもズレれば理想のシュートは打てないですし、どういう角度で軸足を置けば良いかなど、色々な形を試し続けていました」
――1ミリの誤差によって変わると。
「そうですね。しかも試合中のボールは動いていますから。難しいですが、毎回、同じシュートを打てるように。そうすればほぼ点を取れるので、ひたすら練習していました」
――その蹴り方はマネできますかね?
「マネはできますよ。でも僕もそうだったように、相当に時間がかかります。だから自分の子どもには今のうちにその蹴り方を習得しておくように伝えていますね。だから、蹴り方は僕と一緒ですもん(笑)。自然とマネしていたんでしょうね。自分と同じで身長は低いですが、シュートのパワーはあります」
――コツはなんでしょうか?
「軸足。それと、多くの人は足の甲を斜めにしてボールを捉えると思いますが、自分の蹴り方は甲を真っすぐにして入れる。その蹴り方は間違えると怪我につながりかねないので、本来は敬遠されがちだけど、足が真っすぐにボールを捉えるので、キーパーはどこに飛ぶか読みづらくて反応が遅れる。助走もつけなくて良い。でもやっぱり難しい蹴り方だと思います」
――その蹴り方は足の筋力も必要ですか?
「うーん、多少は必要でしょうが、パワーではないんですよね。上半身との連動。手、身体、足が上手く連動して、それこそ弓矢のようにしなるイメージ。バランスやタイミングが一番大事です。シュートのコツを良く聞かれますが、俺のアドバイスはシンプルで『最後までボールを見なさい』ということ。
小学校の低学年で教わることですが、その基本が何よりも大切だと思います。ボールをしっかり見ないと軸足の置き位置もブレますからね。その前にゴールを見ておきなさいと伝えます。みんな『そんなのできるよ』と言うかもしれないけど、基本をないがしろにしちゃ絶対ダメ」
――では最後にプロになるために必要なこと、プロとしてプレーする上で大事なことはなんでしょうか?
「やっぱり諦めずにやり続ける、長所を伸ばすことですね。そしてこれだけは負けないというモノをひとつ持っておくこと。やり続けても壁にぶつかる時は訪れるはず。でも、貫いたら、やっていて良かったなと思える瞬間が絶対にくる。そして、それでもダメだと思ったら、勇気をもって他の道を探すことも大事。サッカーだけが人生ではないし、やり続ける、自分の長所を探すことは、他の分野でも一緒。そう意識すれば損はないですよ。
プロとしてもやり続けて早く自信をつける。例えば(香川)真司がそうで、当初は細くて小さく見えたんですよ。テクニックはありましたが、足が特段、速いわけでもなくて、正直、最初は『プロでやっていけるのかな』と疑問を感じていました。でも試合に出てゴールを取るようになると、一気に自信をつけて、階段を駆け上った。自信を付けて急成長する良い例ですよね。それは自分にも当てはまって、自信がなければ主張できない。自信があるからこそ『俺にパスをくれ』と呼び込めるし、力みなくシュートを打てる。自信を付けるには練習あるのみです」
【プロフィール】
大久保嘉人(おおくぼよしと)
1982年6月9日生まれ、福岡県出身。
国見高3年時に高校3冠を達成し、インターハイと高校選手権では大会得点王を獲得した。2001年にセレッソ大阪でプロキャリアをスタートさせると、攻撃センスと闘争心溢れるプレーで存在感を発揮。海外挑戦を経て13年から在籍した川崎フロンターレでは、史上初のJリーグ3年連続得点王の偉業を達成。2021年に引退するまでJ1通算最多得点となる191ゴールを決めた。日本代表としてアテネ五輪、ワールドカップ南アフリカ大会、同ブラジル大会などに出場している。Instagram:@yoshito13 Twitter:@Okubonbon13
「変わらなかったですね。3年連続で得点王を取った時(2015年/33歳)も外食をしたりしていましたからね。ずっと変わらないです」
――体調管理において、「腸」の働きも注目されていますが、意識したことはありますか?
「実は自分、便秘気味なんです(苦笑)。4日間、出ない時もあって。それは小学生の時から。小さい時は病院で浣腸をしてもらったりしましたが、大人になっても変わらず。お酒を飲んだ次の日は出てスッキリしますが(笑)、出ないとやっぱり練習前や試合前にムズムズして気持ち悪い。それは悩みでしたね。
ある年に失敗もあって(苦笑)。お湯に大根と梅干を入れて煮込んだスープを飲むと、出るんですよね。それで一度、試合前に家で自分で作って飲んだら……試合中にトイレを我慢し続けることになってしまった(苦笑)。90分プレーしましたが、あれは二度とやらないと思いましたよ」
――では嘉人さんに憧れる学生たちに向けたアドバイスもお願いします。まずゴールを奪う秘訣、独自のトレーニング法はありましたか?
「特にはなくて、やり続けたのはシンプルなシュート練習ですね。だけど、俺の蹴り方は独自で、今まで所属したチームで同じ蹴り方をできる選手はいなかった。その蹴り方は元々、自分もできなくて、壁に打ったり、キーパーに入ってもらって蹴る方向を伝えながらそれでもセーブできないシュートをひたすら練習しました。軸足が1ミリでもズレれば理想のシュートは打てないですし、どういう角度で軸足を置けば良いかなど、色々な形を試し続けていました」
――1ミリの誤差によって変わると。
「そうですね。しかも試合中のボールは動いていますから。難しいですが、毎回、同じシュートを打てるように。そうすればほぼ点を取れるので、ひたすら練習していました」
――その蹴り方はマネできますかね?
「マネはできますよ。でも僕もそうだったように、相当に時間がかかります。だから自分の子どもには今のうちにその蹴り方を習得しておくように伝えていますね。だから、蹴り方は僕と一緒ですもん(笑)。自然とマネしていたんでしょうね。自分と同じで身長は低いですが、シュートのパワーはあります」
――コツはなんでしょうか?
「軸足。それと、多くの人は足の甲を斜めにしてボールを捉えると思いますが、自分の蹴り方は甲を真っすぐにして入れる。その蹴り方は間違えると怪我につながりかねないので、本来は敬遠されがちだけど、足が真っすぐにボールを捉えるので、キーパーはどこに飛ぶか読みづらくて反応が遅れる。助走もつけなくて良い。でもやっぱり難しい蹴り方だと思います」
――その蹴り方は足の筋力も必要ですか?
「うーん、多少は必要でしょうが、パワーではないんですよね。上半身との連動。手、身体、足が上手く連動して、それこそ弓矢のようにしなるイメージ。バランスやタイミングが一番大事です。シュートのコツを良く聞かれますが、俺のアドバイスはシンプルで『最後までボールを見なさい』ということ。
小学校の低学年で教わることですが、その基本が何よりも大切だと思います。ボールをしっかり見ないと軸足の置き位置もブレますからね。その前にゴールを見ておきなさいと伝えます。みんな『そんなのできるよ』と言うかもしれないけど、基本をないがしろにしちゃ絶対ダメ」
――では最後にプロになるために必要なこと、プロとしてプレーする上で大事なことはなんでしょうか?
「やっぱり諦めずにやり続ける、長所を伸ばすことですね。そしてこれだけは負けないというモノをひとつ持っておくこと。やり続けても壁にぶつかる時は訪れるはず。でも、貫いたら、やっていて良かったなと思える瞬間が絶対にくる。そして、それでもダメだと思ったら、勇気をもって他の道を探すことも大事。サッカーだけが人生ではないし、やり続ける、自分の長所を探すことは、他の分野でも一緒。そう意識すれば損はないですよ。
プロとしてもやり続けて早く自信をつける。例えば(香川)真司がそうで、当初は細くて小さく見えたんですよ。テクニックはありましたが、足が特段、速いわけでもなくて、正直、最初は『プロでやっていけるのかな』と疑問を感じていました。でも試合に出てゴールを取るようになると、一気に自信をつけて、階段を駆け上った。自信を付けて急成長する良い例ですよね。それは自分にも当てはまって、自信がなければ主張できない。自信があるからこそ『俺にパスをくれ』と呼び込めるし、力みなくシュートを打てる。自信を付けるには練習あるのみです」
【プロフィール】
大久保嘉人(おおくぼよしと)
1982年6月9日生まれ、福岡県出身。
国見高3年時に高校3冠を達成し、インターハイと高校選手権では大会得点王を獲得した。2001年にセレッソ大阪でプロキャリアをスタートさせると、攻撃センスと闘争心溢れるプレーで存在感を発揮。海外挑戦を経て13年から在籍した川崎フロンターレでは、史上初のJリーグ3年連続得点王の偉業を達成。2021年に引退するまでJ1通算最多得点となる191ゴールを決めた。日本代表としてアテネ五輪、ワールドカップ南アフリカ大会、同ブラジル大会などに出場している。Instagram:@yoshito13 Twitter:@Okubonbon13