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【名馬列伝】大差で突き放す異次元の強さ。“持込馬”であるマルゼンスキーが『史上最強』と主張される理由

三好達彦

2023.07.24

 マルゼンスキーはその後、日本短波賞(現・ラジオNIKKEI賞3歳ステークス)に出走。予想通りハナを切って後続を引き離していたが、また首を上げて急失速。しかし鞍上に鞭を入れられると再加速し、ゴールでは2着のプレストウコウに7馬身もの差を付けていた。単勝は100円元返しだった。

 そして、次走は結果的に最後のレースとなる短距離ステークス(OP、札幌・ダート1200m)に出走。逃げ馬の捨て身の逃げをラクに追走してあっさり抜け出すと、ここでもまた2着のヒシスピードを10馬身も置き去りにし、レコードタイムを計時していた。

 その後は足元のトラブルを抱えながらも有馬記念を目標に調整が進められていたが、追い切りで一番時計を叩き出したマルゼンスキーは屈腱炎を発症したことが判明。関係者による協議の末、種牡馬入りが決まった。
 
 名馬ニジンスキーの直仔という貴重な血に加え、自身もまったく底が見えないほどの異次元の強さを見せたマルゼンスキーは、種牡馬としても成功を収めた。サクラチヨノオー(日本ダービー、朝日杯3歳ステークス)をはじめ、菊花賞を制したホリスキーとレオダーバン、宝塚記念に優勝したスズカコバンらのGⅠ勝ち馬を輩出。母の父としても、菊花賞と天皇賞(春2回)の勝ち馬ライスシャワー、ダービー馬のウイニングチケット、スペシャルウィークなどをGⅠホースに押し上げている。

 持込馬ゆえの制限を受け、ついに本当の力量が分からないままに引退したマルゼンスキー。1978年1月15日に東京競馬場で行なわれた引退式に際し、スタンドには彼を愛したものにしか書けないであろう感動的な文言が記された横断幕が掲出された。

「さようならマルゼンスキー。語り継ごうおまえの強さを。讃えよう君の闘志を」
(文中敬称略)

文●三好達彦

【動画】驚愕の大差勝ち!マルゼンスキーの朝日杯3歳S

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