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食と体調管理

『僕はおそらく他の人より練習量が少ない』と自分のペースを貫く理由。パルクールアスリート朝倉聖のトレーニング法とコンディショニング

THE DIGEST編集部

2021.07.01

日本トップランナーとして、パルクールの魅力を人々に発信する役割を担っている。写真:田中研二

日本トップランナーとして、パルクールの魅力を人々に発信する役割を担っている。写真:田中研二

――パルクールはフランス発祥ということもあり、2024年のパリ・オリンピックで正式種目として採用される話もありましたが、残念ながら外れてしまいました。

「オリンピックで金メダルを獲りたいと思っていたので、しばらくはモチベーションが下がっていました」

――では、次の目標は?

「ずっと出場したいと思いつつ、実現していなかった、“Red Bull Art Of Motion(レッドブル アート オブ モーション)”に出場してみたいです。町の造形物をそのまま使うところがおもしろくて、壁や階段、ベンチ、町全体がひとつの舞台になります。観客も近くてとても盛り上がります。その大会で優勝することが、いまの僕の夢ですね」

――子どもたちへレッスンも行なっていると聞きました。

「いまプライベートレッスンを受け持っている子は、僕に憧れを抱いてくれていて、真似をしたいと、一生懸命に練習しています。前からヒーローみたいな存在になりたいと思っていたので、うれしいですね。公園内のちょっとしたヒーローからスタートして、その範囲が少し広くなったかなと。もっと広げていきたいです」

――そのことはパルクールの認知度を上げていくことにもつながりますね。

「最近は公園でトレーニングしていると。『パルクールだ!』と言われる機会が多くなりました。僕が始めた頃は変な目で見られていましたから、だいぶ変わりましたね。当たり前の光景になってほしいです」

――全身を使うパルクールは、最近、さまざまスポーツのトレーニング法として取り入られているようですね。

「パルクールにはもともとトレーニングとしてのカルチャーがあり、肉体のみならず精神を鍛える目的がありました。それから身体の使い方、日常の簡単なところで言えば、転んだ時などの回避方法、距離が足りなかった時のうしろに転がる動きだったりとか、高いところから落ちた時にコロンと回る動きだったり、身を守る術を学べます。スポーツの側面だけでなく、そうしたルーツやカルチャーも多くの人に知ってもらいたいですね」

――観るスポーツとしては、どんなところに注目したらよいですか? 

「フリースタイル部門は、自由度が高い分、性格が出やすいんじゃないかと思っています。それぞれのかたちがあるので、そこを見てほしいです。僕の場合は、好きな事をつきつめるタイプなので、苦手な鉄棒技はあまり取り入れてないです。それからひねくれた性格なので、“THE 王道”は好まなくて、ファッションもそうですが、パルクールでも流行の技はしません。ちょっと外したり、変化をつけたり、人と違うことをしようと意識しています」

――そのあたりがSEI選手の魅力であり、強みになっているんですね。いくつかのパフォーマンスを見ましたが、力強いというよりも、しなやか、華麗という表現が合う気がします。

「ありがとうございます。技やフォームの美しさにこだわっているので、そう言っていただけとうれしいです!」

【プロフィール】
朝倉聖~SEI(あさくら・せい)
1999年3月27日生まれ。monsterpk Crew所属。神奈川県出身
中学生の時にパルクールと出合い、独学で練習に励み高校卒業後、日本トップのパルクール集団monsterpk Crewに加入。華麗に動き回る独自のスタイル「SAINTKOUR」を武器に、2019年日本選手権初代王者、国際大会で日本人初の優勝を成し遂げるなど、世界レベルの実力を示した。ソニーのスマートフォン・Xperiaの魅力を発信する「Xperia Ambassadors」や「TEAM G-SHOCK」メンバーとしても活動している。

取材・文●尾崎史洋(THE DIGEST編集部)
撮影場所:MISSION PARKOUR PARK TOKYO

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