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プロ野球

「信頼を取り戻せるようなピッチングをしたい」――3連覇を支えたオリックス・山﨑颯一郎、苦悩の末に見えた復調の兆し【オリ熱コラム2025】

野口航志

2025.08.05

23年にはWBC日本代表にも選出された山﨑。苦悩の日々を経て、ようやく復活の兆しが見えてきた。写真:野口航志

23年にはWBC日本代表にも選出された山﨑。苦悩の日々を経て、ようやく復活の兆しが見えてきた。写真:野口航志

「信頼を取り戻せるピッチングをしたいと思っている」

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 その言葉に、強い覚悟がにじんでいた。

 オリックスの山﨑颯一郎は、2021~23年の3連覇を支えた象徴的存在の一人だ。剛速球を武器に中継ぎとして君臨し、ブルペンの屋台骨を担ってきた。しかし昨年、彼はこれまでの輝きから一転、苦しみのシーズンを迎える。度重なるコンディション不良により、一軍での登板はわずか7試合に終わった。

 今年のキャンプでも、「感覚が戻っていない」と違和感を抱えていた。「まだ見つかってないっすね。きっかけっていうか、もうこれで行くっていうのはまだないです。本当にちょっとしたことっすよ。見た感じじゃ分からない」と話すなど、自身の“感覚”を探る日々が続いた。結局、今季も不安を抱えたままシーズンに突入することになった。

 開幕からパフォーマンスは上がらず、5月までの11試合で防御率は6.35。先頭打者への四球や痛打される場面が続き、5月中旬までに一軍選手登録を2度抹消された。

 不調の原因を突き止めるべく、ファームでの再調整が始まった。そこで本人が特に意識したのが「股関節のはまり」だった。「岸田(護)監督にも言われた股関節。右の股関節のはまりがやっぱ良くなかったので、一番意識して取り組んだのがそこですかね」と語る。投球フォームの中で、足を上げた後に体重を乗せる右足の股関節が「ずっと抜けている感じがあった」とのこと。コーチ陣やデータ班とも連携しながら、修正に時間をかけた。

「登板中とかはしっかり意識してないですけど、いいポジションにはまってたんで、出力がある程度安定して出てたのかなと思います」
 調整期間中、ボールへの意識も見直した。以前から「球速よりも、指にかかったボールを大事にしたい」と話していた山﨑。実戦では「(自分の中でも)変わってきているのかなと思いますね。(体重移動も)横の力が強かったんですけど、今はちゃんと(前でボールを)叩けてる。なので、回転効率とかボールの角度もちょっと(ずつ)変わってきてるのかな。ファウルも取れていますし、ゾーンに投げ込んで、追い込んだら変化球で締める。その形が作れればいいかなと思います」と、自身本来のスタイルに立ち返ることを意識した。

 こうした地道な努力が、数字としても表れ始めた。6月以降のファームでの登板は11試合中10試合が無失点。そして7月15日に一軍へ再昇格。復帰後5試合(7月29日時点)でも失点ゼロと、結果を残し続けている。

 調整の過程では、首脳陣との密なコミュニケーションも大きな意味を持った。元投手コーチでもある岸田監督は、紅白戦やオープン戦から山﨑に多くの登板機会を与え、目をかけていた。

「ゲームごとにちょっとずつ上がってるっていうのがね、やっぱ(スピード)出てましたね」と振り返るように、変化を見逃さなかった。山﨑本人も「ファームの動画とか試合とか見てくれてますし、結構悩んでたのもあって、(岸田監督から)悪いとこはそれだけじゃないですけど、一番気になるポイントがそこ(右の股関節)やったよっていう。『とりあえずそこだけ意識して取り組んでいこう』って言われたのが大きかったです」と話す。

「ずっと期待に応えられるようなピッチングはできていなかったですし、もっともっと。投げる場面(シチュエーション)は問わないんで、投げる場面がきたらそこは信頼を取り戻せるようなピッチングをしていきたいなと思ってます」

 その言葉通り、山﨑は今まさに「信頼の再構築」に取り組んでいる。順位争いが激しさを増す後半戦。現在3位につけるオリックスにとって、経験豊富な中継ぎの復調は心強い材料だ。苦しい時ほど輝く右腕が、チームを押し上げるキーマンとなる日はすぐそこまで来ている。

文・写真●野口航志

著者プロフィール
ノグチコウジ。 1984年、神戸市生まれ。岡山大学卒業。記者とカメラマンの『二刀流』。プロ野球を中心に、社会人野球やプロレス・ボクシングなどの取材や撮影に携わる。ブレーブス時代からのオリックスファン。

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