専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
プロ野球

「なんて“マダックス”だろう」大投手への飛躍を予感させた奥川恭伸の圧巻完封に米記者も熱視線!「同世代では図抜けていた」

THE DIGEST編集部

2021.11.11

徐々にギアが上げ、堂々たるピッチングを披露した奥川。その完封劇に米記者も注目した。写真:THE DIGEST写真部

徐々にギアが上げ、堂々たるピッチングを披露した奥川。その完封劇に米記者も注目した。写真:THE DIGEST写真部

「試合前からとても緊張していたのでホッとしています」

 11月10日に開幕した巨人とのクライマックス・シリーズ・ファイナルステージで、先発マウンドに立ったヤクルトの若きエース、奥川恭伸はヒーローインタビューでそう話して苦笑いを浮かべた。

 もっともピッチングは弱冠二十歳とは思えないほど、堂々としたものだった。立ち上がりこそ、本人の言う「緊張」が影響してかランナーを溜め込む場面も目立ったが、徐々にギアを上げた右腕は、巨人打線をほとんど寄せ付けなかった。終わってみれば、6安打9奪三振の無四球無失点で、チームの4対0での勝利に貢献。レギュラーシーズンでは未達成だった完封を、わずか98球でやってのけたのである。

 いわゆる「マダックス」を達成した。これは100球未満での完封を意味する言葉で、MLB通算355勝を挙げたグレグ・マダックスのプレーから生まれたものだ。1986~2008年にアトランタ・ブレーブスなどで活躍した殿堂入りの大投手は通算35完封のうち13度を100球未満で達成していた。それはいずれも「精密機械」と呼ばれた抜群の制球力がなせる業だった。
 
 もちろん、まだまだマダックスには遠く及ばない。それでも檜舞台で奥川が見せた爽快な完封劇は、大投手への飛躍を予感させるものだった。

 そんな20歳の俊英には、“野球の本場”も熱視線を送っている。米メディア『The Athletic』などで執筆しているキム・スンミン記者は、自身のツイッターで「かなり良いぞ」と賛辞を惜しまない。

「ポストシーズンの初戦で、なんて“マダックス”だろう。しかも、彼はまだ二十歳だ。私は2019年のU-18の大会(WBSC U-18ベースボールワールドカップ)で、オクガワがカナダから7イニングで18三振を奪うところを見たことがある。彼はこの時からとても質の高い制球力を見せつけていた」

 星稜高校時代の奥川が見せた国際大会での快投を振り返り、「同世代では図抜けたピッチングをしていた」とキム・スンミン記者。当時、MLBスカウトも見ていたという一戦からおよそ3年――。日本球界の盟主である巨人を相手に、圧巻の投球を見せた右腕の成長にきっと驚かされたはずだ。

構成●THE DIGEST編集部
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号