「試合前からとても緊張していたのでホッとしています」
11月10日に開幕した巨人とのクライマックス・シリーズ・ファイナルステージで、先発マウンドに立ったヤクルトの若きエース、奥川恭伸はヒーローインタビューでそう話して苦笑いを浮かべた。
もっともピッチングは弱冠二十歳とは思えないほど、堂々としたものだった。立ち上がりこそ、本人の言う「緊張」が影響してかランナーを溜め込む場面も目立ったが、徐々にギアを上げた右腕は、巨人打線をほとんど寄せ付けなかった。終わってみれば、6安打9奪三振の無四球無失点で、チームの4対0での勝利に貢献。レギュラーシーズンでは未達成だった完封を、わずか98球でやってのけたのである。
いわゆる「マダックス」を達成した。これは100球未満での完封を意味する言葉で、MLB通算355勝を挙げたグレグ・マダックスのプレーから生まれたものだ。1986~2008年にアトランタ・ブレーブスなどで活躍した殿堂入りの大投手は通算35完封のうち13度を100球未満で達成していた。それはいずれも「精密機械」と呼ばれた抜群の制球力がなせる業だった。
もちろん、まだまだマダックスには遠く及ばない。それでも檜舞台で奥川が見せた爽快な完封劇は、大投手への飛躍を予感させるものだった。
そんな20歳の俊英には、“野球の本場”も熱視線を送っている。米メディア『The Athletic』などで執筆しているキム・スンミン記者は、自身のツイッターで「かなり良いぞ」と賛辞を惜しまない。
「ポストシーズンの初戦で、なんて“マダックス”だろう。しかも、彼はまだ二十歳だ。私は2019年のU-18の大会(WBSC U-18ベースボールワールドカップ)で、オクガワがカナダから7イニングで18三振を奪うところを見たことがある。彼はこの時からとても質の高い制球力を見せつけていた」
星稜高校時代の奥川が見せた国際大会での快投を振り返り、「同世代では図抜けたピッチングをしていた」とキム・スンミン記者。当時、MLBスカウトも見ていたという一戦からおよそ3年――。日本球界の盟主である巨人を相手に、圧巻の投球を見せた右腕の成長にきっと驚かされたはずだ。
構成●THE DIGEST編集部
11月10日に開幕した巨人とのクライマックス・シリーズ・ファイナルステージで、先発マウンドに立ったヤクルトの若きエース、奥川恭伸はヒーローインタビューでそう話して苦笑いを浮かべた。
もっともピッチングは弱冠二十歳とは思えないほど、堂々としたものだった。立ち上がりこそ、本人の言う「緊張」が影響してかランナーを溜め込む場面も目立ったが、徐々にギアを上げた右腕は、巨人打線をほとんど寄せ付けなかった。終わってみれば、6安打9奪三振の無四球無失点で、チームの4対0での勝利に貢献。レギュラーシーズンでは未達成だった完封を、わずか98球でやってのけたのである。
いわゆる「マダックス」を達成した。これは100球未満での完封を意味する言葉で、MLB通算355勝を挙げたグレグ・マダックスのプレーから生まれたものだ。1986~2008年にアトランタ・ブレーブスなどで活躍した殿堂入りの大投手は通算35完封のうち13度を100球未満で達成していた。それはいずれも「精密機械」と呼ばれた抜群の制球力がなせる業だった。
もちろん、まだまだマダックスには遠く及ばない。それでも檜舞台で奥川が見せた爽快な完封劇は、大投手への飛躍を予感させるものだった。
そんな20歳の俊英には、“野球の本場”も熱視線を送っている。米メディア『The Athletic』などで執筆しているキム・スンミン記者は、自身のツイッターで「かなり良いぞ」と賛辞を惜しまない。
「ポストシーズンの初戦で、なんて“マダックス”だろう。しかも、彼はまだ二十歳だ。私は2019年のU-18の大会(WBSC U-18ベースボールワールドカップ)で、オクガワがカナダから7イニングで18三振を奪うところを見たことがある。彼はこの時からとても質の高い制球力を見せつけていた」
星稜高校時代の奥川が見せた国際大会での快投を振り返り、「同世代では図抜けたピッチングをしていた」とキム・スンミン記者。当時、MLBスカウトも見ていたという一戦からおよそ3年――。日本球界の盟主である巨人を相手に、圧巻の投球を見せた右腕の成長にきっと驚かされたはずだ。
構成●THE DIGEST編集部