専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
プロ野球

ソフトバンクは黄金ルーキー前田悠伍をスケールの大きい投手に育てられるか? 「1年目からのデビューは?」の声も上がるが…

氏原英明

2024.02.19

ソフトバンクのドラフト1位ルーキー前田が初のブルペン入り。指揮官からも称賛の声が上がった。写真:氏原英明

ソフトバンクのドラフト1位ルーキー前田が初のブルペン入り。指揮官からも称賛の声が上がった。写真:氏原英明

 お手並み拝見といったところか。

「きっちり将来のエース候補として育てるのが我々の役目。はよ上げろって言わないようにしたい」

【PHOTO】前田悠伍も登板した「侍ジャパンU-18壮行試合」 高校日本代表0ー8大学日本代表
 ソフトバンクのドラフト1位ルーキー前田悠伍が第4クールの第1日に初めてブルペンに入った。立ち投げのみのたった30球弱だったが、ソフトバンク・小久保裕紀監督は努めて冷静にゴールデンルーキーの育成計画について語っていたのが印象的だった。

 小久保監督の就任に伴って米国留学を経験した倉野信次氏がピッチングコーチ(兼ヘッドコーチ)に復帰。「詳しくは倉野に聞いて」と指揮官が言うくらい全幅の信頼を置いているが、二人の間では前田への「特別育成プログラム」があるようだ。

 高卒ルーキーが1年目からメジャーで活躍することはアメリカではまずあり得ないが、倉野コーチが就任した意味はそうした高校生の逸材をいかに育て上げられるかだろう。日米で文化が異なるとはいえ、段階的な育成計画が必要なのは明らかである。

 とはいえ、前田の初ブルペンに驚いた人も少なくなかった。小久保監督はその一人で「ほぉ~」と感嘆の声を上げるほどだった。

 小久保監督が話す。
「率直にいってモノが違うなと思いました。ビックリするような真っ直ぐと言うわけじゃないけど、あれだけリリースが一定してバランスを崩さず投げられる。初ブルペンという中でね。12月までは大阪桐蔭でピッチング練習をしていたとはいえ、1月からはピッチング練習を禁止にしていましたから。1球だけ、僕は真後ろに行って見てみたんですけど、きっちり構えたところに投げていました。あれができるのは、多分、どんな状況であっても体がある程度バランスが取れているから。出力の出し方も含めて出来上がっているんだろうなと。どこをイジるの?って思いました」。

 素材の良さを目の当たりにしてしまうと早期のデビューを期待してしまうものだ。メディアの中にも「特別育成プログラム」があるのを認識していながら、早速「1年目からのデビューはありますか」という質問が出ていた。

 全く支離滅裂なやり取りだが、日本の野球界は往々にしてこうなりがちだ。素材が良いからこそ大事に育ててスケールを大きくすることを考えるべきところを、「早く見たい」と考えてしまう。挙句、育成の順序を間違える。そうして将来有望な高校生を潰してきたという背景が日本の野球界にはゴマンとあるのだ。どう育成していくかはしっかりと見ていく必要がある。
 
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号