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NBA

“NBA史上初”の超人的トリプルダブルで大逆転勝利を演出したドンチッチ。両指揮官が絶賛「彼はモンスタープレーヤー」<DUNKSHOOT>

秋山裕之

2022.12.29

ドンチッチは60得点、21リバウンド、10アシストという驚愕の活躍でマブズを大逆転勝利に導いた。(C)Getty Images

ドンチッチは60得点、21リバウンド、10アシストという驚愕の活躍でマブズを大逆転勝利に導いた。(C)Getty Images

 現地時間12月27日、ダラス・マーベリックス(以下マブズ)のホームコート、アメリカン・エアラインズ・センターには2万377人もの観客が詰めかけた。

 この日の対戦相手はニューヨーク・ニックス。両チームの間に特別なライバル関係があるわけではないものの、昨季までマブズで4年間活躍したジェイレン・ブランソンが今夏フリーエージェントでニックスへ移籍。この日が初の凱旋試合ということもあり、注目を集めていた。

 もっとも、そのブランソンは腰を痛めて欠場。試合は48分間(12分×4クォーター)のレギュレーションのうち、実に46分20秒間にわたってアウェーのニックスがリードするという思わぬ展開に。第4クォーター残り33.2秒にマイルズ・マクブライドがフリースロー2本を成功させてニックスが9点をリード(112-103)し、勝負は決したかに思われた。

『ESPN Stats & Info』によると、直近20シーズンで試合時間残り35秒以内に9点以上のビハインドを背負っていたのは1万3884チームあり、そのすべてのチームが黒星を喫していた。単純計算で9点差は3ポゼッションの差があるのだから、マブズにとって勝利はほぼ不可能と言える窮地だった。
 
 ところが、マブズはその“不可能な劣勢”を覆してみせた。クリスチャン・ウッドの3ポイント、ルカ・ドンチッチの3点プレーで残り15.1秒に3点差へ接近。マクブライドのフリースロー1本が決まって4点差とされるも、タイムアウト明けにスペンサー・ディンウィディーが3ポイントをねじ込み、残り9.1秒に1点差へ持ち込む。

 残り7.1秒。ニックスはマクブライドがフリースロー2本を沈めて3点差へ広げると、マブズは残り4.0秒にドンチッチがフリースロー2本を獲得。1本目を慎重に決めると、2本目をわざと外してリバウンド勝負に。するとウッドとジャベール・マギーがボールをはじき、そのこぼれ球を手にしたドンチッチは「あと2秒くらいあるのは分かっていた」と試合後に明かしたように、そのままショットまで持ち込んだ。これが見事に決まり、残り1秒に115-115の同点へと追いついたのだ。

 この奇跡的な同点劇の主役を演じたドンチッチは、第4クォーターに18得点、延長に入っても7得点を奪い、キャリアハイかつ球団史上最高の60得点をマーク。

 そして延長の末、マブズは126-121でニックスを撃破。ホームに集まった大観衆だけでなく、映像を通じて試合を視聴していた世界中のバスケットボールファンを虜にしたのは言うまでもない。
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