サンアントニオ・スパーズのヴィクター・ウェンバンヤマは、身長221㎝のセンターながら、ガード並みのハンドリングスキルとシュート力を備え、“エイリアン(宇宙人)”という愛称で知られている。
ディフェンスではそのサイズと244㎝のウイングスパンを活かし、今季はリーグトップの平均3.8ブロックを記録。一方、オフェンスではペリメーターでプレーすることが多く、従来のセンターとは一線を画している。
フランス出身の21歳は、その個性的なスタイルから唯一無二の存在と言われることも多いが、殿堂入り選手のドミニク・ウィルキンスは英国メディア『Esports Insider』のインタビューで、これに異を唱えた。
「7フィート3インチでドリブルができて、3ポイントを打てて、ゴール下まで切り込める。確かに彼は稀に見る才能の持ち主だ。でも、NBAで誰に似てるかと言えば、それはラルフ・サンプソンだろう」
サンプソンは、1983年のドラフトでヒューストン・ロケッツから全体1位指名を受けた逸材。224㎝と長身ながら身体能力が高く、ドリブルも上手く、機動力もあった。さらにはゴール周辺でのフィニッシュ力に加え、ミドルレンジからのシュート力も兼ね備えていた。
ウェンバンヤマは221㎝・107kg、サンプソンは224㎝・103kgと体格はほぼ同じ。1年目の成績を見ても、前者が平均21.4点、10.6リバウンド、3.6ブロックに対し、後者は平均21.0点、11.1リバウンド、2.4ブロックとこちらも非常に似通っており、ともに新人王に輝いている。
そのなかで、2人の決定的な違いを挙げるとすれば、3ポイントだろう。ウェンバンヤマがキャリア2年、117試合で143本を成功させているのに対し、サンプソンは9年、456試合で10本の成功にとどまった。
ただ、これについてドミニクは、サンプソンがプレーしていた1980年代のリーグの風潮を原因に挙げた。
「当時のビッグマンが今のように3ポイントを練習できていれば、ラルフも(ウェンバンヤマと)同じくらい打てたはずだ。ラルフは同じスキルをすべて持っていた。
でもあの頃はコーチがビッグマンに3ポイントを打たせようとしなかった。ラルフはシュートレンジも広かったし、走れて、ポストプレーもできて、ブロックもできた。ヒザを痛めるまでは、何でもこなせる選手だった。ウェンビーは、まさにラルフ・サンプソンなんだよ」
ドミニクと同時代に活躍したクリス・マリンも、この意見に同意している。昨年10月に出演したYouTube番組『Come And Talk 2 Me』でマリンは、ウェンバンヤマはスペシャルな選手ではあるものの、全体的にはケガ前のサンプソンの進化版だと見ていた。
「バージニア大時代やNBA初期のラルフ・サンプソンを見ていれば、ウェンビーのようなバージョンを想像できる。もちろん、彼にしかできないような空中でのキャッチやアリウープもあるけど、正直に言えば『ああ、こういうの見たな』と思う部分もある。
でも、それこそがスポーツの醍醐味だろう? 何かを見て、それを進化させていく。コビー(ブライアント)がマイケル・ジョーダンを真似たようにね。この競技はそうやって成長していくんだ。ウェンビーはたぶんサンプソンの試合を見たことがないと思うけど、私は見ていたからわかる。『これはあの進化形だな』とね」
ウェンバンヤマのプレーは革新的だが、全盛期のサンプソンを知るレジェンドたちにとっては、どこか懐かしさも感じさせるのかもしれない。
構成●ダンクシュート編集部
“史上最高のカレッジプレーヤー”ラルフ・サンプソンを巡った空前絶後の獲得競争【NBAドラフト史|1983】
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フランス出身の21歳は、その個性的なスタイルから唯一無二の存在と言われることも多いが、殿堂入り選手のドミニク・ウィルキンスは英国メディア『Esports Insider』のインタビューで、これに異を唱えた。
「7フィート3インチでドリブルができて、3ポイントを打てて、ゴール下まで切り込める。確かに彼は稀に見る才能の持ち主だ。でも、NBAで誰に似てるかと言えば、それはラルフ・サンプソンだろう」
サンプソンは、1983年のドラフトでヒューストン・ロケッツから全体1位指名を受けた逸材。224㎝と長身ながら身体能力が高く、ドリブルも上手く、機動力もあった。さらにはゴール周辺でのフィニッシュ力に加え、ミドルレンジからのシュート力も兼ね備えていた。
ウェンバンヤマは221㎝・107kg、サンプソンは224㎝・103kgと体格はほぼ同じ。1年目の成績を見ても、前者が平均21.4点、10.6リバウンド、3.6ブロックに対し、後者は平均21.0点、11.1リバウンド、2.4ブロックとこちらも非常に似通っており、ともに新人王に輝いている。
そのなかで、2人の決定的な違いを挙げるとすれば、3ポイントだろう。ウェンバンヤマがキャリア2年、117試合で143本を成功させているのに対し、サンプソンは9年、456試合で10本の成功にとどまった。
ただ、これについてドミニクは、サンプソンがプレーしていた1980年代のリーグの風潮を原因に挙げた。
「当時のビッグマンが今のように3ポイントを練習できていれば、ラルフも(ウェンバンヤマと)同じくらい打てたはずだ。ラルフは同じスキルをすべて持っていた。
でもあの頃はコーチがビッグマンに3ポイントを打たせようとしなかった。ラルフはシュートレンジも広かったし、走れて、ポストプレーもできて、ブロックもできた。ヒザを痛めるまでは、何でもこなせる選手だった。ウェンビーは、まさにラルフ・サンプソンなんだよ」
ドミニクと同時代に活躍したクリス・マリンも、この意見に同意している。昨年10月に出演したYouTube番組『Come And Talk 2 Me』でマリンは、ウェンバンヤマはスペシャルな選手ではあるものの、全体的にはケガ前のサンプソンの進化版だと見ていた。
「バージニア大時代やNBA初期のラルフ・サンプソンを見ていれば、ウェンビーのようなバージョンを想像できる。もちろん、彼にしかできないような空中でのキャッチやアリウープもあるけど、正直に言えば『ああ、こういうの見たな』と思う部分もある。
でも、それこそがスポーツの醍醐味だろう? 何かを見て、それを進化させていく。コビー(ブライアント)がマイケル・ジョーダンを真似たようにね。この競技はそうやって成長していくんだ。ウェンビーはたぶんサンプソンの試合を見たことがないと思うけど、私は見ていたからわかる。『これはあの進化形だな』とね」
ウェンバンヤマのプレーは革新的だが、全盛期のサンプソンを知るレジェンドたちにとっては、どこか懐かしさも感じさせるのかもしれない。
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