プロ野球

コロナ禍で2か月半の練習自粛も…逆風に立ち向かう琉球ブルーオーシャンズの現在地

岩国誠

2020.10.11

琉球を率いる清水監督(左)は、「ここ数週間はいろんなスカウトの方にもきていただいています」と現状を語った。写真:岩国誠

 その航海は続いていた。

 将来のNPB参入を目標に2020年、沖縄で新たに誕生した新球団「琉球ブルーオーシャンズ」。新型コロナウイルス感染拡大防止策の影響で2度の大きな活動自粛期間がありながらも、沖縄の地で、今できることと向き合いながらしっかりと活動を続けていた。

 10月上旬の沖縄、気温は29度。少し歩けばすぐに汗が額を伝う。

「きょうは涼しいですよ」と、練習を終えた選手たちはそう言って白い歯を見せた。十分に日焼けした顔が歯の白さをより引き立たせている。褐色の肌。ボールケースを持つ腕に目をやると、二の腕にかけて、隆起した筋肉が一段と太くたくましくなっているように見えた。彼らがこの沖縄で鍛錬を積んできた一つの証であろう。

 現在の練習地は春季キャンプを行なっていた沖縄県南部の東風平野球場ではなく、ANA BALL PARK 浦添と、アトムホームスタジアム宜野湾。共にNPB球団が春季キャンプを行う球場だけあって、設備も十分整っている。 
 
 ただ、練習の準備は自分たちで行う。球場使用可能になる9時から、グラウンドに白線を引き、ベースやネットを設置する。そこにはNPB出身者や先輩後輩は関係ない。

 セッティングが終わると、今度は各自ウォーミングアップ。2月のキャンプ時は、とりあえず体を動かしているというような選手も多かったが、去年まで中日ドラゴンズでコンディショニングトレーニングコーチを務めてきた勝崎耕世コーチの的確な指導の甲斐あって、野球で使う筋肉、関節を十分に意識しながら、しっかりと体の各部位を動かしていた。

 9時45分。清水直行監督をはじめ、コーチ陣がミーティングを終え、グラウンドに姿を表す。

 練習メニューの説明を終えると、投手と野手に別れて練習がスタート。それぞれの課題に取り組みながら、球場が使えるギリギリの時間まで、みっちり3時間。気温30度近くまで上がったグラウンドで、ひたすらにボールを追いかけ、バットを振り続けていた。

 一見するとキャンプで見た時と何も変わらない光景。しかし「2月のキャンプと同等のメニューを、半分の時間でやっているんですよ」とチームスタッフの一人がそう教えてくれた。