プロ野球

巨人新助っ人テームズは韓国球界で「神」と呼ばれた男。日本でも適応力の発揮なるか?

SLUGGER編集部

2020.12.30

巨人の新外国人テームズは韓国で圧倒的な活躍を収めた。そのプレーはもちろん、ファン対応の良さでも愛された存在だった。(C)Getty Images

 年末真っただ中にもかかわらず、"球界の盟主"の動きはやむことがないようだ。

 巨人は29日、ワシントン・ナショナルズからFAとなっていたエリック・テームズと基本合意したという。さらに30日は、メジャーでオールスター選出経験のある両打ちの一塁手、ジャスティン・スモークとも契約間近であることが判明した。国内FAではDeNAから梶谷隆幸と井納翔一を補強しており、積極的な動きを見せている。

 巨人の新助っ人のテームズとスモークは、ともに1986年生まれの34歳、2008年のドラフトで指名を受けている。もっとも、1巡目全体11位指名だったスモークに対してテームズは7巡目の219位、プロスペクトとして高く評価され続けたのもスモークだった。さらに、スモークの方が1年早く2010年にメジャーデビューして11年のキャリアを誇る一方で、テームズは6年しかない。それはなぜか。テームズは3年間、韓国プロ野球に在籍していたからである。
 
 テームズはトロント・ブルージェイズでプロ入りした後、シアトル・マリナーズなど計4球団を転々とし、2013年オフに韓国プロ野球・NCダイノスと契約を結んだ。韓国に渡った当初は練習施設が充実していない環境面、言語も分からない生活に戸惑い、YouTubeでくだらない動画を見ることくらいしかやることがなかったという。

 しかし彼は気づいた。こんな時間を過ごすのが無駄だということに。そしてテームズは、読書を始めたという。韓国の文化だけでなく言語も学び、新たな生活に溶け込もうとした。そして、その効果はてきめんだった。

 最初の1ヵ月は低調だったが、打率.343、いずれもリーグ2位の37本塁打&121打点をマーク。そして2年目の2015年、テームズは「韓国プロ野球のバリー・ボンズ」(『USAトゥデイ』)になる。アジアプロ野球史上初となる40本塁打&40盗塁、いわゆる"40-40"を達成し、打率.381で首位打者も獲得。さらに長打率(.790)、OPS(1.287)で韓国プロ野球の歴代新記録を更新するなど、文字通り最強打者として君臨したのである。

 そして、このシーズンの途中からテームズはファンの間で「神」と呼ばれるようになった。家を出るとファンが寄ってきてセルフィーを頼まれ、TV番組などにも出演した。それでも、テームズは嫌な顔ひとつしなかったという。なぜなら、そうしたファンとの接し方も、異国の地での適応につながると考えたからだった。
 
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