いよいよ明日に迫ったプロ野球のドラフト会議。これまで「即戦力」「スピードスター」「未完の大器」「捕手」「リリーフ」と、さまざまなカテゴリーで有力選手を紹介してきたが、最終回のテーマは、この連載を担当した年間300試合を現地で取材する西尾典文氏の「おすすめ選手」だ。
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選手を見る時は極力、その実力をフラットに判断するようにしているとはいえ、どうしても個人的な好みは出てくるもの。投手ではひねる動き、かつぐ動き(テイクバックで投げる方の肩が下がる)、体の早い開きがなく、ヒジを柔らかく使って体の近くで腕が振れる選手が、個人的に見ていていいピッチャーと感じるポイントだ。
佐々木朗希(大船渡高)といった目玉の投手を除いて、今年の候補の中で各カテゴリーから上記の条件に当てはまる選手を一人ずつ選ぶと、鈴木寛人(霞ケ浦高)、小川一平(東海大九州)、阿部陽登(日立製作所)の3人となる。
小川は気になっていながら、ドラフト直前の10月にようやくお目にかかることができ、想像以上のフォームの良さに驚かされた。鈴木と同様に登板した試合は沖縄国際大打線につかまって負け投手となったが、長いリーチを柔らかく使える腕の振りは素晴らしいの一言。
阿部を見たのは今年8月と10月の関東選抜リーグというローカル大会。ともに1イニングの登板だったが、左肩が開かないフォームからコーナーいっぱいに投げ込むストレートは、両日とも最速146kmをマークし、素材の良さは十分に伝わってきた。高卒3年目で若さがあるのも魅力である。