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侍ジャパン

侍ジャパンの“投手MVP”は栗林良吏。社会人野球で培った経験が大舞台で発揮された【東京五輪】

西尾典文

2021.08.09

投手陣を全試合で支えた栗林。その投球の源泉は、社会人野球にあった。(C)Getty Images

投手陣を全試合で支えた栗林。その投球の源泉は、社会人野球にあった。(C)Getty Images

 5戦全勝で悲願の金メダル獲得を達成した侍ジャパン。多くの選手の活躍が目立ったが、投手陣で大きな役割を果たしたのが抑えの栗林良吏(広島)だ。投手では唯一5試合すべてに登板し、初戦のドミニカ共和国戦こそ失点したものの、2勝&3セーブと見事な働きを見せた。

 特に圧巻だったのが準々決勝のアメリカ戦だ。同点の10回表、無死一二塁から始まるタイブレークの場面でマウンドに上がると、打者三人を完璧に抑えて無失点でしのぎ、その裏のサヨナラ勝ちにつなげた。特に先頭打者のメジャー通算218本塁打のトッド・フレイジャーから三振に奪ったフォークは見事という他なかった。
 
 栗林は、シーズンでも5月8日の中日戦で1点リードの8回、1死満塁の場面からマウンドに上がり、代打の井領雅貴を併殺に打ち取ってピンチを切り抜けている。外野フライも許されない場面でフォークを低めに集められる集中力は、およそルーキーとは思えない次元にある。

 そんなルーキー右腕だが、アマチュア時代は最初からここまでの安定感があったわけではなかった。名城大3年秋に出場した明治神宮大会では、九州共立大の片山勢三(パナソニック)に2本のホームランを浴びて7失点で負け投手となっている。

 この当時はスピードこそあるものの、高めに甘く入るボールも目立っていた。投手としての安定感、そしてピンチの場面での強さを身につけたのは社会人での経験が大きかったのではないだろうか。

 社会人野球の主要大会である都市対抗野球、日本選手権の本選はいずれもトーナメント形式で行われており、負ければ終わりの一発勝負である。地元や所属企業を背負って出場する大会で、負けたら終わりという試合でのプレッシャーは相当なものがあり、何年もプレーしているベテラン選手が勝利の瞬間に泣き崩れるという場面も珍しくない。

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