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ワールドシリーズの視聴率は史上ワースト2位。それでも“ベースボール危機論”が的外れな理由<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2021.11.06

世界一を決めて喜ぶブレーブスナイン。この瞬間を全米でおよそ1175万人が視聴したという。(C)Getty Images

世界一を決めて喜ぶブレーブスナイン。この瞬間を全米でおよそ1175万人が視聴したという。(C)Getty Images

 2021年のワールドシリーズは、ブレーブスの26年ぶりの世界一という結末で幕を閉じた。米放送局『FOX Sports』が中継したシリーズ6試合の平均テレビ視聴率は6.5%。昨年(5.2%)に次いで史上2番目に低い数字だった。

 アメリカでは近年、ワールドシリーズの視聴率低迷を根拠に「野球人気は危機的状況にある」とする声がよく出てくる。確かに、同じ北米四大スポーツNFLのスーパーボウルが毎年40%前後という圧倒的な数字を叩き出していることを考えれば、そうした意見に説得力があるようにも思える。

 だが、経済誌『Forbes』のコラムニストで、スポーツビジネスに詳しいモーリー・ブラウンはそんな“野球危機論”に繰り返し異を唱えている。ワールドシリーズ終了直後に寄稿した記事で、ブラウンは「毎年この時期になると、ワールドシリーズの視聴率を根拠に『ベースボールは死にかけている』という議論がひっきりなしに展開される。だが、それは“神話”に過ぎない。ベースボールは死にかけてなどいない」と主張している。
 
 ブラウンいわく、そもそも視聴率の比較対象に問題があるという。「人気低下」の根拠として引き合いに出されるのは、ワールドシリーズの視聴率が毎年20%を超えていた1970年代頃との比較。だが、当時はワールドシリーズを主に中継していた米放送局『NBC』を含め、全米ネットワークはわずか3局しかなかった。

 だが、現在はケーブルTVの普及でチャンネル数は爆発的に増えている。それに加えてネットフリックスに代表されるストリーミング放送サービスも普及し、視聴者には無限の選択肢がある。視聴率の維持に苦しんでいるのはどの番組も同じで、別にMLBだけの問題ではない。影響を受けていないのは、それこそNFLくらいのものだ。また現在、ワールドシリーズを中継するのは、『FOX Sports』は有料チャンネルだが、ここ6年間で全米の有料チャンネル加入者数が20%も減少しているというデータもある。
 
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