このオフのメジャーリーグは、ロックアウトの話題で持ちきりだった。新労使協定をめぐってオーナー側と選手会が激しく対立。昨年12月に始まったロックアウトは99日間に及び、その影響で開幕が1週間延期となった。
争点はプレーオフ枠の拡大、ナ・リーグのDH制導入からFA補償、若手選手の待遇改善、ドラフト改革、タンキング対策など多岐にわたり、それぞれの案件についてメディアや有識者も含め、喧々諤々の議論が行なわれた。
それに比べて、日本球界の何と平和なことか。選手の最低保障年俸やドラフト会議の改定など、重要事項を決めるのはプロ野球実行委員会とオーナー会議。選手会は“要望”は出しても、ストライキなどの実力行使には及ばない。この物分かりの良さは、不祥事でも起こさない限りシーズン中に解雇されもしない、安定した環境に置かれているからでもある。
しかし、だからと言って、日本球界に解決しなければならない問題が存在しないわけではない。もしも、MLBのように、徹底した労使交渉が行なわれるとしたら、どのような議題が上がり、どのような解決策が導き出されるだろうか。 すでに実施に向けて動いている現役ドラフトを除くと、最大の争点となりそうなのは、長年の懸案であるFA取得期間をめぐる問題だろう。現行では一軍登録145日=1年として8年で国内FA移籍、9年で海外FA移籍の権利が得られる。だが、選手会はこれでは取得時期がピークを過ぎた30歳を超えてしまうとして、短縮を目指している。
ただ、「年数」も重要ではあるが、「登録日数」にも焦点を当てる必要があるはずだ。昨年の奥川恭伸(ヤクルト)が代表例だが、先発登板日のみ一軍登録され、翌日に二軍降格、10日後に再登録される、いわゆる「投げ抹消」は、FA権取得の見地から考えると選手にとって著しく不利に働く。もちろん、奥川の場合は肩の負担などを考慮したうえでの措置なのだが、それが「意図せざる結果」を生んでいる。
MLBでは、一定の経験がある選手はマイナーへ降格させることすら制限があるが、日本では周知の通り10日を過ぎればいつでも昇格・降格は可能。メリットもあるとはいえ、FA取得を引き延ばす方便として悪用も可能なのだから、制度的に不備があるのは否めない。アメリカ流の労使交渉があったら、選手会は間違いなく俎上に載せるだろう。
争点はプレーオフ枠の拡大、ナ・リーグのDH制導入からFA補償、若手選手の待遇改善、ドラフト改革、タンキング対策など多岐にわたり、それぞれの案件についてメディアや有識者も含め、喧々諤々の議論が行なわれた。
それに比べて、日本球界の何と平和なことか。選手の最低保障年俸やドラフト会議の改定など、重要事項を決めるのはプロ野球実行委員会とオーナー会議。選手会は“要望”は出しても、ストライキなどの実力行使には及ばない。この物分かりの良さは、不祥事でも起こさない限りシーズン中に解雇されもしない、安定した環境に置かれているからでもある。
しかし、だからと言って、日本球界に解決しなければならない問題が存在しないわけではない。もしも、MLBのように、徹底した労使交渉が行なわれるとしたら、どのような議題が上がり、どのような解決策が導き出されるだろうか。 すでに実施に向けて動いている現役ドラフトを除くと、最大の争点となりそうなのは、長年の懸案であるFA取得期間をめぐる問題だろう。現行では一軍登録145日=1年として8年で国内FA移籍、9年で海外FA移籍の権利が得られる。だが、選手会はこれでは取得時期がピークを過ぎた30歳を超えてしまうとして、短縮を目指している。
ただ、「年数」も重要ではあるが、「登録日数」にも焦点を当てる必要があるはずだ。昨年の奥川恭伸(ヤクルト)が代表例だが、先発登板日のみ一軍登録され、翌日に二軍降格、10日後に再登録される、いわゆる「投げ抹消」は、FA権取得の見地から考えると選手にとって著しく不利に働く。もちろん、奥川の場合は肩の負担などを考慮したうえでの措置なのだが、それが「意図せざる結果」を生んでいる。
MLBでは、一定の経験がある選手はマイナーへ降格させることすら制限があるが、日本では周知の通り10日を過ぎればいつでも昇格・降格は可能。メリットもあるとはいえ、FA取得を引き延ばす方便として悪用も可能なのだから、制度的に不備があるのは否めない。アメリカ流の労使交渉があったら、選手会は間違いなく俎上に載せるだろう。