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「天才的」か、それとも「無謀」――リスクを承知で“地上最強投手”デグロムに総額約250億円を投じたレンジャーズの「本気度」<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2022.12.03

FA市場最大級の目玉選手だったデグロムは5年1億8500万ドルでレンジャーズ入りを決めた。(C)Getty Images

FA市場最大級の目玉選手だったデグロムは5年1億8500万ドルでレンジャーズ入りを決めた。(C)Getty Images

 衝撃的なニュースが飛び込んできた。

 12月2日(現地)、メッツからフリーエージェント(FA)になっていたジェイコブ・デグロムが5年1億8500万ドル(約247億9000万円)でレンジャーズと契約したことが決まった。

 デグロムと言えば、“地上最強”との呼び声もあるMLB屈指の好投手。2018年から2年連続でサイ・ヤング賞を受賞し、昨季前半戦は15試合に先発して防御率14.08という信じられない数字を残して話題を集めた。

 一方で、今回の契約は大きなリスクも孕んでいる。昨季後半戦と今季前半戦は右肩の故障のため全休。ここ2年間で156.1イニングしか投げていない。しかも、来年6月で35歳となる。そんな投手に今後5年間にわたってメッツでチームメイトだったマックス・シャーザーに次いで歴代2位の年平均3750万ドル(約50億250万円)を保証するのだ。

 米ウェブメディア『The Athletic』のケン・ローゼンタールが「大きな賭け」、同じく『The Athletic』のキース・ロウが「『天才的』か『無謀』か、あるいはその中間」と評するなど、現地メディアの受け止め方も決して諸手を上げて称賛、というわけではない。

 だが、リスクが大きいことはレンジャーズも百の承知のはず。クリス・ヤングGMがプレスリリースで「このオフシーズンの優先課題の一つが先発投手陣の強化だった。そして、我々は最高の先発投手を手に入れた」と声明を発表したが、デグロムがメッツとの契約からオプトアウトしてFAになった直後、いち早く接触したのはレンジャーズだった。最初から彼の獲得を目指していたことは間違いない。
 
 レンジャーズは昨オフも遊撃手のコリー・シーガーと10年3億2500万ドル(438億7500万円)、二塁手のマーカス・セミエンと7年1億7500万ドル(約234億5000万円)契約して球界を驚かせており、これで2年続けての「超大物獲得」。シーガー、セミエン、そして今回のデグロムで計920億円以上もの金額を投資したことになる。

 今季は68勝94敗で地区4位に終わったが、ファーム組織も充実してきており、今回のデグロム獲得でさらに大きく戦力が向上したのは間違いない。今後、外野とブルペンを底上げできれば、一気に西地区のダークホースとなってもおかしくない。

 そうなると、大谷翔平擁するエンジェルスも黙ってはいられないだろう。このオフは15勝左腕のタイラー・アンダーソンを獲得するなど積極的に動いてはいるが、今回のデグロムのレンジャーズ入りを受け、ファンからは「FA遊撃手ビッグ4(カルロス・コレア、トレイ・ターナー、ザンダー・ボガーツ、ダンズビー・スワンソン)のいずれかを獲得するべき」との声も出ている。

 世界一に輝いたアストロズ、若手の台頭で大躍進を遂げたマリナーズ、デグロム加入で意気上がるレンジャーズ、そして大谷のFAイヤーに懸けるエンジェルス。2023年のア・リーグ西地区は今季以上の激戦になりそうだ。ちなみに、大谷とデグロムはこれまで直接対決がない。2人の対決も、23年の注目ポイントになることだろう。

構成●SLUGGER編集部

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